「一気にシェアを取る」…ニデックがロボット向け攻勢、中・大型減速機増産へ290億円投資
ニデックは2026年度に中・大型減速機で世界トップシェアを狙うため、大規模な増産投資に踏み切る。日本とフィリピンに約290億円を投じて生産能力を順次拡大し26年度に年産60万台体制を構築するとともに、需要動向をみながら、メキシコや欧州での生産も視野に入れる。現在同社のシェアは中型減速機では2割程度だが「やるからには一気にシェアを取る。そのために最初から大型投資していく」(西本達也副社長)と攻勢を強める。
中・大型減速機は主に中・大型ロボットや工作機械向け。このほど開発した静音性やコスト競争力のある戦略製品の市場投入と合わせて、生産体制を強化する。すでにフィリピン工場(スービック)では約30億円を投じて年産10万台の工場を整備し、12月から新製品の出荷を始めるが、さらに約80億円を投じて同工場を拡張する。既存棟と同規模の延べ床面積約2万平方メートルの新棟を建設し25年度中に完成。生産能力を同30万台に引き上げる。
日本では駒ケ根工場(長野県駒ケ根市)に約180億円を投じ、24年12月から生産を開始。同30万台の計画。さらに市場の動向などを見ながらメキシコ・欧州のグループ拠点や周辺エリアで生産していくことも検討する。
戦略製品として投入するのは内接式遊星歯車の精密減速機「KINEX」。子会社のニデックドライブテクノロジー(京都府向日市)が開発。スマート工場化が進む中でニーズが出てきた静音性を高めつつ競合品よりも価格を2割程度抑えた。11月に子会社化したTAKISAWAを含むグループ傘下の工作機械メーカーとのシナジーで、最適生産・コスト低減を実現した。
ニデックによるとロボット業界全体で使われる中・大型減速機の台数は年間150万台程度。同社は小型精密減速機にも力を入れており、小型から大型までトータルで提案できるのを強みとし、ロボット業界を攻略する。