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ソフトバンク・第一生命など加盟コンソが取引開始、「炭素クレジット」とは?

消費者も参加可能、分散型台帳で信頼性

ナチュラルキャピタルクレジットコンソーシアム(NCCC、馬奈木俊介理事長=九州大学教授)は2024年春、温室効果ガス(GHG)排出量の削減実績である「カーボン(炭素)クレジット=用語参照」の取引を始める。ブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用した民間の取引所を開設し、企業だけでなく消費者も参加できる仕組みにする。30日に開幕する気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)でも炭素クレジットの議論が予定されており、取引が活発になりそうだ。(編集委員・松木喬)

NCCCにはソフトバンクや第一生命保険、九州電力、東京ガス、西部ガスなど約50社が加盟し、民間主導のボランタリークレジット(自主的クレジット)の普及を目指して活動している。参画企業の1社であるジャスミー(東京都港区、佐藤一雅社長)が取引システムを開発した。同社は元ソニー社長の安藤国威氏も代表取締役を務める。24年春の運用開始に向けて参加者を募集する。

ブロックチェーンを活用する取引所は、炭素クレジットの発行から販売、利用の履歴の改ざんを防いで管理する。暗号資産(仮想通貨)と同じように炭素クレジットを扱うため、不正な発行や二重売買も防いで信頼性を確保できるほか、新しい流通形態も創出できる。

消費者による炭素クレジットの取得だけでなく、消費者が炭素クレジットを利用して排出量を帳消しにする「オフセット」を実施できる。企業は温暖化対策事業の成果を炭素クレジットにして発行し、地元住民に利用を呼びかけることで地域と連携した事業を展開できる。住民も地域や企業の脱炭素化を支援できる。

国や企業が排出量を実質ゼロにする手段として、炭素クレジットが注目されている。COP28では国同士が炭素クレジットを取引するルールの最終決定が見込まれる。一方で削減量の正しい測定はもちろん、炭素クレジットを発行した事業の内容も問われるようになっており、NCCCはブロックチェーンで透明性を確保する。

日本では政府が管理する「J―クレジット」の寡占状態だが、海外では民間機関による自主的クレジットが主流となっている。世界銀行によると、22年の全世界の炭素クレジット発行量は二酸化炭素(CO2)換算で4億7500万トン。そのうち、58%が自主的クレジットだった。

また、J―クレジットは認証や発行の手続きが煩雑で、相対取引が基本になっており流通が限られていた。政府は東京証券取引所に市場を開設したり、デジタル化した手続きを検証したりして改善を進めている。

NCCCは農地や森林、海の保全による自然再生(ネイチャーポジティブ)によって自主的クレジットを発行し、売却で得た収益を農林水産業に還元する地方創生モデルを描く。

日刊工業新聞 2023年11月29日
松木喬
松木喬 Matsuki Takashi 編集局第二産業部 編集委員
ソフトバンクや第一生命、元ソニー社長の安藤氏創設のベンチャー企業などが参加し、民間主導の炭素クレジット取引を始めます。地域貢献の成果をクレジットにするので、共感した市民や企業はクレジット購入で地域の活動を応援できます。ブロックチェーンを使うのでグリーンウォッシュを防げます。ちょうどNHKで「ビットコイン開発者のサイトナカモト」をテーマにした番組を見ました。最新デジタル技術が脱炭素と地域振興に役立つと感じました。

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