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ファナックが500kg可搬ロボット開発、EV需要取り込む

ファナックは電気自動車(EV)の生産ラインなどを想定した可搬質量500キログラムの重可搬ロボット「M―950iA/500=写真」を開発した。同社はEV用バッテリーの搬送用途などを見据えた同1000キログラムの重可搬ロボット「M―1000iA」を投入済みだが、EVの工法や車種の多様化を背景に、一回り小さな重可搬ロボットの需要も高いと判断した。2024年1月の販売を予定する。

M―950iA/500は大型ロボットに一般に採用されるアームが2本の「平行リンク機構」でなく、アームが1本の「シリアルリンク機構」を採用。アームの可動域が広く旋回時などの周囲への干渉が小さいため、狭い場所でも重可搬ロボットを設置できる。

従来は一つの軸に対して、二つのモーターを搭載して駆動させる必要があったが、モーターの新規開発にも成功。一つのモーターで駆動できるシンプルな機構を実現した。

先行販売しているM―1000iAは受注以来、高水準の引き合いがあるという。今回、新型の重可搬ロボットを投入する背景には、EVの車種や工法の多様化が関係する。

例えば小型EVの登場による車載バッテリーの小型化や、車体部品を一体成形する工法「ギガキャスト」の採用などだ。ギガキャストの場合、加工対象物(ワーク)のサイズは大きくなるが重量自体は500キログラム未満に収まることも多い。

加えて、走行距離を延ばすため車体に使われる素材も軽量化の傾向があり、可搬質量1000キログラムの機種ではサイズが大き過ぎるケースもあった。ファナックは重可搬ロボットのラインアップを増やすことで、多様な顧客ニーズに応え、EV需要を取り込む構え。


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日刊工業新聞 2023年11月29日

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