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出力密度2倍の窒化ガリウムHEMT、住友電工が新結晶技術で開発

住友電気工業は新しい結晶技術を使い、出力密度を従来比2倍に高めた窒化ガリウム製トランジスタ(HEMT)を開発した。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトの一環で研究。ポスト第5世代通信(5G)情報通信システムの中核をなす基地局向け増幅器に実装し、小型化と高性能化を目指す。

窒素極性で窒化ガリウム結晶の品質を向上したことに加え、高濃度n型ドープ窒化ガリウムを採用したほか、ハフニウム系のゲート絶縁膜の形成技術を組み合わせた。

その結果、1ミリメートル当たり2アンペア超の最大電流と60ボルト超の高耐圧を両立。N極性窒化ガリウムHEMTとして世界最高値である、周波数28ギガヘルツ(ギガは10億)における最大出力密度1ミリメートル当たり12・8ワットを達成した。

4G以降、増幅器には低消費電力の窒化ガリウムHEMTの採用が進むが、既存技術では高出力化の限界が近づいていた。今後は実用化を目指し、新規結晶やゲート絶縁膜の信頼性向上などに向けた技術開発を行う。

17日まで福岡市中央区で開かれた窒化ガリウムに関する世界最大の国際学会「ICNS」で報告した。


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日刊工業新聞 2023年11月22日

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