バイクの速度やルート情報を両目に即時投影、最先端ヘルメットがスゴイ
エギス・ライダーが開発
エギス・ライダー(チューリヒ市、シモン・ハッカー最高経営責任者〈CEO〉)は、運転中にバイクの速度やルート情報などを仮想現実(VR)でリアルタイムに両目に投影できるヘルメットを開発した。2024年に200個を販売予定で、価格は1500―2000スイスフラン(約25万―34万円)。快適で安全なバイク走行の実現に役立てる。
エギス・ライダーは20年設立のチューリヒ工科大学発のスタートアップ。バイク業界向けVRシステムの構築に取り組んでいる。
開発したヘルメットは、バイクにスマートフォンをセットし、位置情報などのデータをヘルメットに搭載した端末に無線でリアルタイムに送信する仕組み。運転手はVRを映し出す特殊なめがねを装着する。その上から開発したヘルメットを被ることで、バイクの速度やルート情報などが両目で見られる。
ヘルメットの裏側にVR関連の装置を取り付けている。装置の重さは70グラム程度であるためヘルメット全体の重量は一般的な製品と大差がない。1度の充電で約2時間30分の走行が可能だという。
同社はチューリヒ工科大学内でデモ実験を実施。特殊なめがねと開発ヘルメットを装着すると、スマートフォンから送られた速度などの情報が映し出されることを確認した。
バイク向けVRは4輪車向けに比べて10年ほど開発スピードが遅れている。VRを活用して運転中にルート情報などを投影する技術は開発されているが片目用しかない。片目だけ見える状況だと運転中に気が散ってしまい、事故につながることが懸念されていた。
日刊工業新聞 2023年11月22日