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WaaS共創コンソーシアムの取組事例②~駅利用者のリスク低減と地方創生へ向けた検証活動~

JR東日本が運営するオープンイノベーションプラットフォーム「WaaS共創コンソーシアム」にて実証活動に取り組み、将来的な実装を目指す3テーマの事例について紹介する。混雑リスク低減に向けた歩行者向けのラウンドアバウト、ウェルネス・サイクルツーリズムによる地域消費拡大、空と駅とを結ぶ「空飛ぶクルマ」の活用、の3テーマは、いずれも広く駅利用者や地域を巻き込むテーマであり、コンソーシアムに参画する多様なプレイヤーが連携して推進中の活動である。

混雑リスク低減に向けた歩行者向けラウンドアバウト

駅と駅周辺の環境において、混雑の緩和やリスクへの対応は非常に重要なテーマである。日常的な通勤時間帯のラッシュはもとより、大規模なイベント等による駅構内や周辺での混雑発生など、その対応や予測による緩和方法が試行されてきた。本コンソーシアムでも前身となるモビリティ変革コンソーシアムにおいて、複数のアプローチが検討され、積極的に取り組まれてきたテーマでもある。
 2023年度は、群衆マネジメント学を活用した混雑リスク低減に向けた実証活動が展開された。新宿駅南口を実証フィールドとし、歩行者の安全でスムーズな通行を目指し、ラウンドアバウト(※)実証試験を実施した(2023年7月10日~12日)。その後、7月の実証実験の結果を踏まえ、手法を変更し、2023年11月15日~12月1日の17日間、同エリアにてラウンドアバウト実証実験第2弾を行った。本実証実験では、「ラウンドアバウト歩行の認識度向上」および「ラウンドアバウト歩行の定着」の検証を行っている。実証実験の結果が、駅の混雑リスクの低減に生かされることを大いに期待しているところである。

※ラウンドアバウト(環状交差点)は、交差点の形式の一種であり、中心とする箇所の周囲を一方通行に周回する交差点である。信号を必要としないため、災害時などの停電時でも、円滑な交通を維持できる効果があるといわれている。
(左)掲載予定のポスター(右)床へ矢印シートを貼付し、誘導/13・14番線から各方面に乗り換えるお客さまと小田急線乗換口からのお客さまが交差しないように、エレベーターを中心に班時計周りに一方通行(ラウンドアバウト)を設定

ウェルネス・サイクルツーリズムによる地域消費拡大

これまで各自治体やJR東日本では、地域の多様な観光資源を活用し、さまざまな魅力創出に取り組んできた。本テーマで、地域との共創により、地域活性化や地域課題解決に貢献する活動を目指し、活動中である。
 具体的には自転車移動をきっかけとして、温泉入浴や地域消費を促す実験を長野県で実施する。プレ実証を本年11月、本実証を2024年5月に実施予定で、自転車利用等のアクティビティに伴う心身の疲労・回復をエンターテインメント化し、可視化する。回復のための手段として、温泉入浴や地域の食品などをおススメすることで、地域消費への貢献も併せて目指す。
 なお、コンソーシアムにおける健康をテーマとした活動としては、2022年11月に横浜駅で実施した「駅チカふらっと健康測定」がある。この活動では、健康測定を実施するほか、健康測定後にはアンケートを実施し、健康意識の変化や購買行動を含む行動変容を検証した。駅と健康というテーマを結びつける結果が得られた実証であり、モビリティ手段に留まらない「駅」というフィールドの活用事例となっている。 本年度の実証実験においても、「駅」にとどまらず、地域の課題解決につながる活動を展開していく。

ウェルネス・サイクルツーリズム実証実験/サイクリング途中で休憩中。飯山~野沢温泉ルートの途中の菜の花公園から千曲川を見る

駅と空とをむすぶ「空飛ぶクルマ」の活用

2025年の大阪・関西万博から実装が本格化すると想定される「空飛ぶクルマ」の活用について、2020年よりコンソーシアムでも検討してきた。駅を基点として空飛ぶクルマが活用される将来を想定し、そこへ向けた社会受容性の把握と向上、ニーズ調査、ポート等のインフラ検討を中心として活動している。
 2022年には、横浜駅上空をモデルにした空飛ぶクルマが飛び交うイメージのVRを制作した。実際の駅を調査し、利用者の動線やポートの設置場所などを検討し、付随するサービスなども多様なメンバーでのディスカッションを通してVRコンテンツに反映した。駅利用者が空を見上げた際、上空に空飛ぶクルマが日常的に飛行している特色あるコンテンツとなっている。
 さらに、制作したコンテンツを含むVRを用い、実装前のモビリティ手段についてのニーズ調査をアンケートにより実施した。BtoB向けの展示会(2022国際ロボット展)、横浜駅ビル(JR横浜タワー、2022年7月)などでVR体験者向けに、体験前後でのアンケートを実施した。実装の際に必要となるサービスやポートの設置希望エリア、価格、懸念事項などを、VRによる疑似体験により具体的なイメージをもって回答いただいている。
 現時点では、ポートの適地調査や必要なインフラ検討など、将来的な実装に向けた参考情報の収集に努めている。今後は、駅を中心とした「空飛ぶクルマの活用」に向け、具体的な鉄道とエアモビリティを組み合わせたサービス検討や検証などに取り組む予定である。

作製したVRコンテンツ/横浜駅屋上に空飛ぶクルマが飛び交っており、駅ビル屋上に設置されたポートから空飛ぶクルマを利用する体験ができるコンテンツ。ラウンジなどの付随サービスも表現している
□参考
WaaS共創コンソーシアム:JR東日本 (jreast.co.jp)
新宿駅南口にて混雑リスク低減に向けたラウンドアバウト実証実験を行います (jreast.co.jp)
JR横浜駅にて実証実験「駅チカふらっと健康測定」を今年度も実施します (jreast.co.jp)
「空飛ぶクルマ」社会受容性向上に向けたイベント実施について (jreast.co.jp)

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