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三菱製鋼が特殊合金粉末の売上高4倍へ…「グリーン粉末」で差別化

三菱製鋼が特殊合金粉末の売上高4倍へ…「グリーン粉末」で差別化

三菱製鋼の特殊合金粉末

三菱製鋼はモーター部品向け特殊合金粉末で、生産時の二酸化炭素(CO2)排出量をゼロとみなす「グリーン粉末」を2024年度にも投入する。粉末を生産する同社広田製作所(福島県会津若松市)が23年度中に、CO2フリー電力活用で同排出総量を13年度比約90%削減できる見通しのためだ。削減分を一部製品に割り付けるマスバランス法に基づき準備する。同社は特殊合金粉末を戦略事業とし、独自の環境価値で競合と差別化する。

三菱製鋼は軟磁性を持つ特殊合金粉末などを手がけており、自動車やスマートフォン用のモーター部品に使用され、機器の小型化などに寄与している。

グリーン粉末で想定する用途は、磁場の変化効率を良くするインダクター(受動素子)。山口淳社長は17日開いた経営説明会で「車の電動化で需要が急拡大しており、特殊合金粉末は30年度に22年度比4倍の160億円の売上高を目指す。7割はインダクター向けで占めたい」と述べた。

高炉鉄鋼各社は生産時のCO2排出を低いと見なす「グリーン鋼材」を発売したが、三菱製鋼は特殊鋼材より粉末事業での脱炭素化製品を優先させ、顧客のスコープ3(供給網全体)でのCO2削減に寄与する考えだ。同社は30年度に鋼材以外の事業で、13年度比75%のCO2排出総量削減を打ち出している。


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日刊工業新聞 2023年11月20日

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