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キヤノンが確立へ、すれ違い後も人物を追尾する新認識技術の仕組み

キヤノンが確立へ、すれ違い後も人物を追尾する新認識技術の仕組み

人同士がすれ違う前の構図。左画面が従来の自動追尾アプリを活用、右が開発中の「交錯対応自動追尾」技術を活用

キヤノンはリモートカメラなど向けに、人物同士がすれ違った後も最初から追尾していた人物を認識し続ける技術「交錯対応自動追尾」を2024年内にも確立する。アルゴリズム(計算手順)を改良し、追尾性能を向上する。講義や音楽ビデオ制作など、複数人が集まる場面での技術の利用を想定する。具体的な搭載製品や提供方式は今後詰める。遠隔での撮影に使える技術の確立を通じ、省人化のニーズにも応える。

人がすれ違った後の構図。従来の自動追尾アプリを活用した左画面では男性の顔を追尾しているが、交錯対応自動追尾技術を活用した右画面では女性の顔を継続して認識できている

キヤノンはリモートカメラの追加機能として自動追尾アプリケーションを有償で提供してきた。複数人での撮影ニーズに応える観点から、人がすれ違った(交錯した)後も、特定の人を追尾する技術の開発を決めた。

追尾対象を特定するアルゴリズムを改良する。従来の自動追尾アプリでは、カメラが捉えた人をシステムに記憶せずに顔を検出していた。新技術では顔を検出した際、人にID番号を割り当ててシステムに記憶させることで、交錯時にも継続した追尾を可能にするという。

有償アプリとして展開している自動追尾機能は、講義動画の配信や映像制作の場で使われてきた。新技術の確立により、リモートカメラへの一段の需要喚起や用途拡大にもつなげたい考えだ。

またキヤノンは、省人化の需要を捉えた技術として、飛行機の離着陸を自動追尾する技術も開発中。放送局向けに提案可能と見込む。飛行機を撮影する際、従来は飛行機の動きに合わせて、人がカメラの角度などを調整する必要があった。新技術の提案を通じて、省人化や作業負担の軽減に貢献する。


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日刊工業新聞 2023年11月17日

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