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9社中7社が過去最高益見通しも…大手リースが懸念する業績押し下げ要因

大手リースの業績が好調だ。2023年4―9月期は、航空機・船舶や国内不動産、法人リースの需要が堅調に回復して収益をけん引した。三井住友ファイナンス&リース(SMFL)は5月に公表した通期見通しを上方修正し、過去最高益を予想するなど、9社中7社で通期の当期利益が過去最高となる見通しだ。ただ業績の押し下げ要因として懸念されるのが金利上昇などに起因する米国市況の悪化。金利の高止まりが予想される中、対応が求められそうだ。

※自社調べ

「国内事業は不動産、事業投資・コンセッション(公共施設などの運営)などを中心に堅調に推移している」。オリックスの井上亮社長は23年4―9月期の業績をこう評した。インバウンド(訪日外国人)需要の回復が下支えし、国内のセグメント利益は前年同期比約42%増と大きく伸びた。輸送機器事業は22年4―9月期に積極的に保有船を売却した反動で23年同期のセグメント利益が伸び悩んだが、流動化を推進して通期のセグメント利益で前期比約61%増の300億円を目指す。

三井住友ファイナンス&リースは、5月に公表した通期見通しから売上高を800億円、当期利益を500億円、それぞれ上方修正した。傘下の航空機リース会社がロシア航空会社にリースした航空機の一部の保険金7億1000万ドル(約1060億円)を受け取ったことが影響した。リースや国内不動産、航空機などの各事業も好調で、引き続き業績を押し上げるとみる。

三菱HCキャピタル、芙蓉総合リースも航空機事業が堅調。三菱HCキャピタルは、市場の回復によるリース料収入の増加や22年同期に計上した減損損失の剥落などで航空機事業のセグメント利益が黒字転換。23年4―9月期は、前年同期から100億円伸びて73億円で着地した。同社の久井大樹社長は「さらなる上振れを期待している」とした。東京センチュリーの馬場高一社長も「旅客数がコロナ禍前の水準にかなり近づいてきた。20年3月期の機体売却益(7000万ドル)の水準に、25年3月期に戻るか注視したい」という。JA三井リースも航空機エンジンのリースが好調に推移した。

今後の懸念材料は米国の不動産をはじめとする市況の悪化だ。三菱HCキャピタルは、米国不動産市場の悪化を背景に、投融資先に関する時価評価損を計上。米州の市況が落ち込んだことで「貸倒引当金も増加した」(同社の佐藤晴彦常務執行役員)。オリックスの井上亮社長は「米国で金利上昇が収まっていないことから新規案件を抑制して既存アセットを流動化したがクレジットコスト(不良債権処理額)が上昇している。今期はリスク抑制を優先するので(米国事業は)2億ドル程度の未達を予想する」という。今後、金利が低下する局面を見極めて新規投資を始める考えだ


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日刊工業新聞 2023年11月16日

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