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東京医科歯科大が感染症センター設立、生かすコロナの経験

東京医科歯科大学(TMDU)は「TMDU感染症センター」(TCIDEA=ティーシーアイデア)を設立した。新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえ、感染症の臨床・基礎・社会医学の各部門が連動した研究や人材育成、学外連携活動を行う。また有事の危機対応型への切り替え判断や、一般社会への正しい情報提供に向けて、各種の情報分析を行う“感染症インテリジェンス”機能を確立する。

同大は2021年から統合臨床感染症学(臨床医学)、感染症健康危機管理学(社会医学)、ハイリスク感染症研究マネジメント学(基礎医学)の各部門を順次、設置してきた。新センターでこれらを連動し、感染症診療・制御の統括や、バイオセーフティーレベル(BSL)3施設での研究、パンデミック(世界的大流行)初期に病原体の素性を明らかにする活動などに取り組む。

全学の有事への転換を調達や財務などを含めて行うため、危機管理手法「インシデント・コマンド・システム」(ICS)も導入する。

同大は24年10月に東京工業大学と統合予定。センサーなどを用いた検知、人工知能(AI)、ロボットなどの工学との融合研究も進める方針だ。

日刊工業新聞 2023年11月03日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
新型コロナの拡大時に、大規模病院はどこも政府とともに動いたと思っていましたが、実はかなり差がありました。要因の一つは、厚労省が管轄する保健所や拠点病院などと違い、大学病院は文科省の担当だったためだと聞きます。その中で東京医科歯科大は、どれほど危険なウイルスかわからない時分から自らの判断で、突出した積極性で重症患者の受け入れなどに動いてきました。その経験は、新センターでおおいに生かされることでしょう。

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