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電炉材は車にどこまで使えるか…ハイテン活用EV披露

電炉材は車にどこまで使えるか…ハイテン活用EV披露

東京製鉄とFOMMによる電炉鋼板を使ったEVコンセプトカー(左から鶴巻日出夫FOMM社長、奈良暢明東鉄社長、小宮山宏元東大総長)

鉄スクラップ由来の高張力鋼板(ハイテン)を活用―。東京製鉄とFOMM(横浜市神奈川区、鶴巻日出夫社長)は10日、引っ張り強度590メガパスカルのハイテンなど電炉材を使う電気自動車(EV)のコンセプトカーを都内で報道陣に披露した。

電炉材の主用途は建設や機械分野。東鉄は「車にどこまで使えるか」を検証するためFOMMに持ちかけた。同社がタイで生産し国内でも販売するEVで、高炉材を使う部分(合計75キログラム)の約72%を東鉄材に置き換えた。

590メガパスカルハイテンはピラー部分など一部に用いた。東鉄による引っ張り強度の高い鋼板は従来、490メガパスカルが限度だった。同社は老廃スクラップ由来で高付加価値鋼材をつくる「アップサイクル」と、二酸化炭素(CO2)排出量が高炉生産の約20%という環境価値が強みだ。

電炉材使用車の一般販売の時期は未定だが、FOMMの鶴巻社長は「量産は電炉材のコスト次第。ライフサイクル全般で低炭素化を目指したい」と話した。

同席した小宮山宏元東京大学総長は「都市鉱山からの資源を使う車は資源自給国家への大きな第一歩。量産化にスピードアップが必要だ」と期待していた。


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日刊工業新聞 2023年11月11日

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