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クラレが280億円で新ライン、活性炭を年2.5万トン増強

クラレが280億円で新ライン、活性炭を年2.5万トン増強

クラレの米子会社カルゴン・カーボンのパールリバー工場(ミシシッピ州)

クラレは米国子会社カルゴン・カーボンの工場で、活性炭の新ラインを2023年内に稼働させる。投資金額は約1億8500万ドル(約280億円)で、歴青炭が原料の新炭の生産能力を年2万5000トン増強する。有機フッ素化合物(PFAS)の規制強化が検討される中、需要が高まる活性炭事業の拡大を図る。

パールリバー工場(ミシシッピ州)の新ラインがこのほど完工し、現在、稼働開始に向けて最終調整を行っている。新ラインの増設に伴い、数十人規模を追加で雇用した。今回の増強により、グループ全体の新炭の生産能力は年14万5000トンまで拡大する。

クラレでは新炭のほか、使用済みの活性炭を引き取り、工場で再生させた後、顧客に納品する再生炭も手がけている。再生の過程では活性炭の微細孔の中に取り込んだ物質を高温で分解させるが、その際に活性炭そのものも小さくなるため、再生炭の生産においても新炭を一定の割合で補充する必要がある。

川原仁社長は「(今回の増強で)しばらくは新炭のバランスがとれるので、これからは再生炭を中心に投資を考えていくフェーズにある」と話す。

クラレは18年にカルゴン・カーボンを買収。原料や生産拠点の多様化を進め、活性炭で世界トップレベルのシェアを誇る。米調査会社リサーチネスターは、世界市場は22年の40億ドルから、35年には95億ドルまで拡大すると予測する。足元では欧米を中心にPFASの規制強化が進む中、クラレはこれらの除去が可能なミドル―ハイエンドの活性炭を扱う。

日刊工業新聞 2023年11月10日

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