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売上高1000億円へ…住友ファーマが攻勢かけるAI活用医療機器の効果

売上高1000億円へ…住友ファーマが攻勢かけるAI活用医療機器の効果

装着型ロボットの手指リハビリ機器などAI活用医療機器で攻勢をかける

住友ファーマは人工知能(AI)を活用した医療機器で2024年度以降に攻勢をかける。うつや認知症、リハビリテーション向けの脳波計や診断デバイス、デジタルセラピー機器、手指リハビリロボットなどで患者個人の特徴や状況の違いに応じたアルゴリズム(計算手順)をAIで構築し、着実な診断、治療につなげる。まず国内で治験して開発を進め、24年度以降に順次投入する。主力の医薬品以外で医療への貢献を図るフロンティア事業で27年度に売上高200億円以上を目指す。(大阪・市川哲寛)

住友ファーマはフロンティア事業を「医薬品事業を下支えする」と位置付ける。医薬品だけでは難しい多様な健やかさの実現や医薬品とのシナジーで事業領域を拡大するとともに、一体での医療エコシステム形成を目指す。

うつや認知症関連ではウエアラブル脳波計やデジタルの診断機器、セラピー機器を開発している。脳波計は脳波の強さを計測、AIでうつや認知症の人の特徴を周波数で見分ける。データ数が少ないと診断がばらつく場合もあるが「簡便な計測で多くのデータが収集でき、着実な診断につながる」(フロンティア事業部)。

うつ病診断デバイスは活動量計や紫外線(UV)センサー、心拍数、皮膚温度などのデータを基に、生態や行動の特徴量の組み合わせで重症度などを診断する。例えば就寝時の体温、運動時の心拍数などでうつ病と関連強いデータをAIで探す。研究進展で関連性が明らかになり、AIを用いれば膨大なデータを基に効率的かつ高精度で診断できる。

セラピー機器は認知症患者の過去や生活状況のデータを基に患者の視覚や聴覚を刺激するコンテンツをAIで最適化する。思い出がある場所の風景や昔の歌などで記憶を刺激、心理安定化や会話で周辺症状緩和を図る。

リハビリ機器は脳卒中などで手指が麻痺した患者向けに装着型ロボットを開発する。まずポータブルタイプを25年度に投入する計画。患者本人の神経を流れる電気信号を基にAIが学習し、その時々の状況やリハビリの進展具合に合わせる。装着したまま日常生活をすごせるようウエアラブル機器として軽量化するため機能を絞り込み、人さし指から小指までの指4本をまとめて動かす方式とする。

その後、指5本をそれぞれ動かしてリハビリする機器を27年度に投入予定。薬事承認を取得して治療効果をうたえるようにする方針。

日本で蓄積したノウハウを生かして大市場の米国を中心に海外にも展開し、32年度にフロンティア事業の売上高1000億円を目指す。アルゴリズムに人種や地域差による違いがある場合でもAIを活用すれば対応しやすい。

日刊工業新聞 2023年11月08日

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