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「ルーター総選挙」ヤマハが10年連続センターをとれる理由

ユーザーとともに歩んだ遊び心
「ルーター総選挙」ヤマハが10年連続センターをとれる理由

ヤマハルーターはユーザーとともに歩んだ…とSN営業部の平野尚志担当課長

 「ルーター総選挙」―。ヤマハの遊び心たっぷりの試みに、ユーザーは大いに盛り上がった。同社はネットワーク機器であるルーター事業を1995年に開始。昨年、20周年記念事業として、歴代モデルの人気ナンバーワンを決める第1回総選挙を行った。

 楽器最大手のヤマハとルーターの組み合わせは一見意外だが、法人向けの低廉なルーター市場でシェア4割を超え、10年以上にわたり首位の座にある。電子楽器用の半導体技術がルーツで、82年にはパソコンを製品化した歴史も持つ。87年にアナログ回線用デジタルFAXモデムLSI(大規模集積回路)を開発した。

 ルーター事業を始めた当時、通信回線はまだ電話回線や専用線で、インターネット利用者は専門家や特定のコミュニティーに限られていた。そんな中、インターネットの普及時代を見据え、総合デジタル通信網(ISDN)接続機能を内蔵した小型、廉価で高速なルーターを業界に先駆けて市場投入した。

 すると米大手ルーターベンダーがすぐに追随。関係者は悲鳴をあげたが、結果は別の方向に。「普通に日本語が通じる身近なルーターであることをユーザーが評価してくれ、販売はむしろ伸びた」(SN営業部)という。2000年代にブロードバンドのインターネットが必須になると、顧客は通信が「切れない」ことを求め、メーカーは高速、安定、安全性を競った。

 ヤマハルーターはユーザーとともに歩んだ。事業開始してすぐに利用者のメーリングリストを作成。メーカーとベンダー、ユーザーが参加するコミュニティーを築き、「こんな事で困っている」「こう使った方がいい」などと直接やりとりすることでファンを広げた。現在、リストには約3000人が名を連ね、「今後もこのスタイルは変えない」(同)。

 ルーター総選挙では「ヤマハルーターのおかげでインターネットに詳しくなった」「愛着を感じる」といったコメントも付記された。ヤマハも「スキルの高いユーザーからの問題提起や指摘などに教わることは多い」(同)。

 ちなみに総選挙でカレンダーの“センターポジション”を獲得したのは98年発売の「RTA50i」。デスク上に置くことを想定したキューブ型デザインとピアノのような光沢塗装が人気を博した。
(文=浜松編集委員・田中弥生)
日刊工業新聞2016年3月11日 モノづくり面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
ルーターはネットワークの要。ルーター同士を相互接続したものがインターネッ トです。(大学対抗戦をインターカレッジと言うのと似ています)ヤマハはSOHOから中規模までの企業用ルーターとして安定性を広く認めら れています。個人ユーザーでヤマハのルーターを使っていれば、かなりのネットスキルがあると思っていいでしょう。

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