太陽電池市場が縮小する日本で生き残りを模索する海外メーカー

ハンファQセルズジャパン、サンテックパワージャパンのトップに聞く

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サンテックパワージャパンのガオ社長(左)とハンファQセルズジャパンのキム社長
 日本の太陽電池市場は縮小が始まった。海外の大手太陽電池メーカーも、日本市場での生き残り策を模索している。独メーカーを買収後、日本で躍進した韓国財閥系のハンファQセルズジャパンのキム・ジョンソ社長、早くから日本市場に参入した中国系サンテックパワージャパンのガオ・ジャン社長に戦略を聞いた。

ハンファQセルズジャパンのキム・ジョンソ社長「周辺機器のコスト削減」


 ―太陽光パネルの国内出荷量は2015年に減少に転じました。
 「当社の出荷は15年も前年並みの75万キロワットだった。16年も75万キロワットを維持できる。品質が認められてリピーターが増えており、販売は落ちていない」

 ―16年度の太陽光発電の買い取り価格が4年連続で低下します。
 「研究・開発センターで周辺機器のコスト削減に全力を尽くす。まずは当社が自社製品で発電所を作り、新しい買い取り価格でも投資ができることを市場に訴えたい」

 ―住宅市場をどう攻略しますか。
 「日本メーカーを扱う代理店での取り扱いが増えており、16年の住宅用は前年比2倍の10万キロワットに伸ばす。ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスを標準化する政府の政策に備え、蓄電池も含めた提案をしていく」

 ―各社がセル裏面でも光を取り込む技術を採用しています。もっとも早く開発したQセルズの優位性は。
 「当社は技術を理解しておりアドバンテージがある。多結晶にも採用を広げ、性能は単結晶、コストは多結晶並みの住宅用パネルを量産している」

 ―電力小売り事業に参入しますか。
 「太陽電池メーカーらしい電力小売り事業を考えている段階だ。売電事業のために、20万キロワット分の太陽光発電所の開発も進めている」

サンテックパワージャパンのガオ・ジャン社長「『完全自家消費』に備え」


 ―世界最大手だった親会社の中国サンテックの経営破綻の影響はなくなりましたか。
 「12―15年半ばまで影響はあった。15年後半からは回復しており、15年の出荷量は前年比14%増の約20万キロワットだった模様だ」

 ―産業用太陽光発電の買い取り価格が1キロワット時当たり24円に低下する見込みです。
 「海外に比べると24円でも高い。それに日本は急な制度変更がなく、安心して投資を続けられる。サンテックに代わって親会社となった中国・順風インターナショナルクリーンエナジーも日本市場を優先しており、当社を支援している」

 ―順風グループのドイツ製遠隔監視システムを日本の太陽光発電所向けに発売します。他の製品・サービスの投入予定は。
 「日本の品質基準は厳しく、ゆっくりになるが順風の製品・サービスを投入する。順風にはLED(発光ダイオード)照明、地中熱空調システム、燃料電池もある。完全自家消費への移行に備え、低コストなリチウムイオン電池も開発している」

 ―住宅用は日本企業が強いです。
 「中国メーカーは、技術やコストで競争力を持っている。我々は太陽光に、他の製品や周辺サービスを組み合わせて提案することで、日本での売上高を年30%伸ばしていきたい」

【記者の目・地方工務店との関係構築必要】
 海外太陽電池メーカーは次々と日本市場に進出したが、安定してシェア10%を維持した海外勢はいない。今後はコストだけでは戦えない。住宅用は日本では小ぶりなパネルが好まれる。地方工務店との関係構築も必要だ。日本市場での生き残りに向け、地に足の着いた戦略が求められる。
(聞き手=松木喬)

日刊工業新聞2016年3月10日エネルギー

COMMENT

松木喬
編集局第二産業部
編集委員

先週、東京であった展示会で業界関係者が「海外メーカーは二極化してきた」と言っていました。安い太陽光パネルをひらすらPRするメーカー、蓄電池やHEMSを含めたシステム提案を始めたメーカー、の二極化です。Qセルズはオムロンのハイブリッド蓄電池を、サンテックも某総合電機メーカーの創蓄システムを展示していました。地方の工務店は太陽電池メーカーのシステム提案に頼る場面が増えるでしょう。そのとき、しっかりと提案できるかが、海外メーカーが日本で生き残る道だと思っています。ちなみに今回の展示会、15年夏の展示会よりも台湾メーカーが減った気がしました。

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