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セブン-イレブン、法人向け弁当宅配に参入検討

井阪隆一社長がインタビューで明らかに。個人向けの次は法人需要取り込みか
セブン-イレブン、法人向け弁当宅配に参入検討

セブン―イレブン・ジャパン井阪隆一社長

 店舗数が1万8000店を超えたセブン―イレブン・ジャパン。9月にはファミリーマートとユニーグループ・ホールディングス(HD)が経営統合、コンビニの店舗数はセブンに迫る。競争激化が必至の情勢のなか、トップの地位をいかに守り続けるか、今後の戦略を井阪隆一社長に聞いた。

 ―今期(2017年2月期)も1800店の出店を計画しています。まだ出店の余地はありますか。
 「コンビニ業界全体は漸増傾向だが、一般商店や種々の業種、銀行の窓口や区役所の出張所などすべて減っている。私たちも既存店の売り上げが下がっていればカニバリゼーションが起きているといえるだろうが、既存店も41カ月連続プラスだ。近くに店がほしいという世の中のニーズもある。商品へのニーズは変わってくるが、それに対応し地域にとってなくてはならぬ店舗であり続ける。18年2月期には全国2万店体制を目指す」

 ―コンビニへのニーズは変わりましたか。
 「ここ数年変わっていないのが食の外部化ニーズだ。総菜などは70カ月以上、1店当たり売り上げが前年同月実績をクリアしている。これからも外部化ニーズに向けての商品力強化が軸になる」

 ―食品スーパーが生鮮や総菜を強化する動きがあります。
 「1週間21食の食事機会があるなかで、コンビニの商品を食べ続けてもらうにはちゃんとした味、毎日食べても飽きずおいしくて、体にもいい商品を開発しなければならない」

 ―これからの立地戦略はどうでしょうか。
 「あらゆるところにチャンスはあるが、出店とは別に店舗から商品をデリバリーする方法を考える。デリバリー機能が高まれば既存店がカバーできるエリアに広がりが出る」

 ―加盟店がご用聞きをやっていますが、これとは違う形ですか。
 「食事に困っている人はたくさんいる。例えば会社で仕事している人の食事の利便性をいかに高められるかも大きな課題だ。病院などもそうだ。現在、食事などの宅配を展開しているが、これは個人中心だ」

 「配達能力をどう高めるか、顧客の注文をどう便利にするかが課題だが、(この機能と加盟店が連携し)職場で弁当が注文できるようにすることも検討していきたい。これから(職場向けの弁当宅配の)実験を始めたい」
日刊工業新聞2016年3月8日 建設・エネルギー・生活1面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
ファミマとユニーグループHDが経営統合しコンビニ事業が1万8000店を超える。井阪社長は「私たちは顧客のニーズに応えるのが役割」とし、改革・改善の手を緩めずライバルの変化も意に介さない。インタビューで示した職場向けの弁当宅配もコンビニとして新市場を切り開く取り組み。同社の顧客ニーズへの挑戦は続く。

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