耐熱合金の強度向上に成功、物材機構が研究者・AI協働モデル
物質・材料研究機構(NIMS)のナンダル・ヴィッキーNIMSポスドク研究員と源聡副プラットフォーム長、出村雅彦部門長らは、人工知能(AI)との協働で耐熱合金の強度を向上させることに成功した。AIの探索結果から研究者が本質的な要素を解釈し、さらに性能を上げる。35億通り以上の熱処理条件の中から、実用的な熱処理条件を見いだした。この方法論を合金開発に展開していく。
ニッケル・アルミニウム合金の熱処理条件をAI技術のモンテカルロ木探索で調べた。熱処理の温度や時間、35億通りの条件の内1620通りをシミュレーションした。すると110条件で従来法を上回る結果を得た。これを研究者が分析して勘所を探る。
すると最初に高温にさらすことで特定の結晶を急速に成長させ、目的サイズに到達したら成長を抑えて体積率をじわじわと増やしていた。この戦略を研究者が条件を振って検証すると、AIの探索結果よりも性能が向上した。AIと研究者の協働モデルになる。
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日刊工業新聞 2023年10月02日