イチゴ収穫ロボット、実現へ一歩前進。カメラで赤い果実を検知します!

一般の野菜に比べ作業時間が長く、コスト削減で農家に朗報となるか!?

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農研機構生研センターのイチゴ収穫ロボット
 農研機構生研センターは宮城県山元町の大規模ガラス温室「先端プロ山元実証ハウス」で、イチゴ収穫ロボットと組み合わせた循環式移動栽培装置の実証を行う。高設栽培棚に密植したイチゴ苗の前後・左右にロボットを走行させ、カメラで赤い果実を検知して摘み取ると同時に、摘んだ果実を載せる収穫トレーも自動交換するという自動運転効果を検証する。期間は2017年度までの3年間。農家にとって負担の大きい収穫作業の自動化を目指す。実証で得たノウハウをマニュアルなどにして栽培で標準化し、普及を図っていく計画だ。

 イチゴはトマトやキュウリなど一般野菜に比べて作業時間が長く、10アールの畑で約2000時間が必要とされ、高コストの原因になっている。果実収穫は赤い実を選んで、傷つけずに摘み取る必要があることから特に重要で、全作業時間の4分の1を占める。

 農研機構はガイドレールや移送コンベヤー、ビジョンカメラなどと組み合わせた定置型イチゴ収穫ロボットを13年度に開発、愛媛県内の農園でテスト稼働してきた。今回、宮城県内の温室で畑面積を約2・5倍に拡大、本格利用に向けてデータ集積を急ぐ。

 「同じ面積でも、一般の畑は人や農機が通るスペースをつくる必要があるがロボット栽培畑は不要なため、この部分にもイチゴ苗を植えられるほか、密植栽培なので実質的には2倍の面積の畑に相当する」(同機構)。

 収穫ロボットをスリム化し、耐久性を高めるとともに、従来は1枚だけだった収穫トレーを途中で自動交換できるようにし、連続運転につなげる。

 愛媛の試験ではイチゴの実の収穫割合が夜間作業、昼間作業ともほぼ4―7割の結果が出ており、これを高める栽培方法やロボット操作方法も研究する。
(日刊工業新聞2015年04月24日1面)

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農水省もロボットの効果に期待


 農林水産省は農業分野におけるロボットの導入に向けた実証事業に、2015年度から乗り出す。ロボットメーカーや農機メーカー、農業法人、大学などから希望者を募り、実証試験を通じて低コスト化や使い勝手の向上、安全性確保などの課題を検証する。わが国の農業従事者は平均年齢が67歳と高齢化が深刻化している。このため重労働が農業からリタイアする主な要因の一つになっており、ロボット化が不可欠。課題を検証して解決策を策定し、農業現場へのロボットの早期普及を目指す。

 実証事業の件数は20件以上に上る見通し。大規模農場でのトラクター自動走行や中山間地の除草ロボット、果樹園の積み下ろし作業の負担を軽減するアシストスーツ、畜舎内の排せつ物を洗浄消毒するロボットなどを想定している。

日刊工業新聞2014年09月05日 建設・エネルギー・生活面

COMMENT

政年佐貴惠
名古屋支社編集部
記者

イチゴ収穫ロボットは古くから開発されているが、未だ実用化されていない。成熟度の判断や葉などに隠れた果実を見つける能力、作業の速さなど、全ての面でまだまだ人間が勝っているというのが理由。人と同じように働くロボットが実現できていない今、産業用ロボットのように周辺の環境を整えるというのは、一つのヒントになりそうだ。 ただ、もう一つの大きなハードルが農家が負担するコスト。果物収穫ロボットが開発されてきた背景には、野菜に比べて単価が高く利益率がいいという面がある。それでもハウスを作り替え、ロボットを導入するとなるとコストは膨大だ。とはいえ補助金だけで解決しようとすれば、真の意味では現場に定着せず、後々に歪みが出てくるように思う。 日本の果物は海外でも人気が高いという。収穫ロボットは現場の負担軽減という面だけでなく、日本の農業ビジネスの未来といった視点もからめて議論することが必要だ。

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