世界シェア5割へ…オーケーエムが「アンモニア燃料船バルブ」開発加速
オーケーエムは開発中のアンモニア燃料船向けバルブで2030年度に世界シェア5割を目指す。エンジンへの燃料供給装置と、燃焼後に発生する亜酸化窒素や未燃アンモニアなどの除去装置に組み込むバルブをそれぞれ開発し、東近江工場(滋賀県東近江市)での生産を検討する。国際海運の脱炭素に向けて重油からクリーンエネルギーへの転換期を迎える中、次世代燃料向け製品の開発を急ぎ、シェア獲得を狙う。
燃料供給装置用バルブは12月に、内径2・5センチメートルと同5・0センチメートルの2種類のプロトタイプを国内大手企業に納め、試験搭載される予定。1年ほど陸上試験を行った後、船への搭載試験に進む。製品は口径別に7―8種類を順次そろえる。
24年度までに開発を終え、25年度にも販売する。現時点で30年度に年400台規模の生産を想定。将来は発電所などの陸上向けへの展開も見据える。
アンモニアは燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しないことから、脱炭素燃料として注目される。ただ毒性が強く、装置などに組み込むバルブには気密性と耐圧性能が求められる。しっかり締めても操作性を損なわないバランスが難しく、燃料供給装置用バルブにはオーケーエム独自の構造を採用している。
一方、未燃アンモニア除去装置用バルブは、同社が世界シェア4割超を握る船舶排ガス用バルブで培ったノウハウを活用し、既存品の改良で対応可能という。すでに納入先が決まっており、10月中に出荷する予定。
同社ではアンモニア燃料船向けバルブの世界市場規模が30年に約30億円、50年には同90億円規模に成長すると試算。30年以降は代替燃料の商用的拡大が想定され、新たなバルブ需要を見込んでいる。
日刊工業新聞 2023年10月02日