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ブラックホールが自転、国立天文台などが発見した意義

ブラックホールが自転、国立天文台などが発見した意義

自転する巨大ブラックホールの周辺のイメージ(崔玉竹博士ら提供)

国立天文台を中心とする国際研究チームは、2019年に撮像成功を発表したM87銀河の中心にある巨大ブラックホールが自転していることを明らかにした。電波望遠鏡をつなぎ仮想的な巨大望遠鏡を作る「超長基線電波干渉法(VLBI)」を活用。ブラックホールの中心から噴射するジェットを観測すると約11年周期で自転し、首振り運動することを発見した。長年難題とされていた天文学の謎が解明できると期待される。

成果は28日、英科学誌ネイチャーに掲載された。

VLBIの中でも日本や中国、韓国を中心とした「東アジアVLBIネットワーク」を使って、M87銀河の巨大ブラックホールを観測。過去20年以上にわたって蓄積された170枚のジェットの画像を分析して形状の変化を調査すると、ジェットの噴出方向が約11年のサイクルで周期的に変化することを発見した。天文学専用スーパーコンピューター「アテルイⅡ」でシミュレーションすると、11年周期のジェットの変化は、自転するブラックホールが周囲の時空を引きずることで生じる運動が関与していることが分かった。

アインシュタイン博士の一般相対性理論では、自転は質量とともにブラックホールの基本的性質や周囲の時空構造を決める重要な要素としている。近年、強力なジェットの駆動にはブラックホールの自転エネルギーが必要であることが提唱された。だがブラックホールの大きさや周囲の星の運動から自転の有無を観測で求めることは困難だった。

日刊工業新聞 2023年09月28日

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