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作業時間2分の1以下に…AIで漫画カラー化、DNPが試験運用するツールの実力

作業時間2分の1以下に…AIで漫画カラー化、DNPが試験運用するツールの実力

漫画の着彩工程は難易度が高く、効率化が課題になっている(イメージ)

大日本印刷(DNP)は多言語対応の漫画制作ツール「DNPマンガオンラインエディトリアルシステムMOES(モエス)」に、人工知能(AI)を活用してカラー化する「マンガAI着彩機能」を搭載し、10月から試験運用を始める。従来は手作業が主体だった着彩工程の効率化を支援し、漫画のグローバル展開を促進する。12月に出版社など向けに提供開始予定。同システムを含む国内外の漫画制作関連事業で2028年までに累計150億円の売り上げを目指す。

モエスは漫画をはじめとするコンテンツの制作やデータ変換などを支援するDNPのスタジオ「マンガクリエーティブワークス」で制作フローの一つとして提供しているクラウド型システム。従来は翻訳機能が主体だったが、今後は漫画制作を効率化する機能を集約していく。その第1弾としてマンガAI着彩機能を実装する。同機能は10ANTZ(テンアンツ、東京都渋谷区)が開発した。

同機能では表現上の効果について、模様や色の濃さなどを影やグラデーションに置き換えて着彩することが可能。DNPが同機能の実証実験を行ったところ、電子書籍で配信する漫画を全て手作業で着彩する場合と比べて、修正も含めた作業時間を2分の1以下に短縮できた。品質についても版元から一定の評価を得た。

併せて、漫画に描かれる画像化された擬音語・擬態語であるオノマトペを削除した際に、削除後の部分にあるはずの背景を推定して描く機能もモエスに実装する。従来、元の言語のオノマトペの画像を残して、その近くに翻訳を併記する場合が多かった。この機能でオノマトペを削除することで、読みやすい表現にしやすくなる。


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日刊工業新聞 2023年09月28日

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