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仏ルノーと日産が共同購買契約を解消、出資対等で競争関係強まる

仏ルノーと日産が共同購買契約を解消、出資対等で競争関係強まる

出資比率が対等となることで、より競争関係の色合いが強まることが想定される

仏ルノーは日産自動車三菱自動車との共同購買契約を解消する。10―12月に予定される日産とルノーの出資関係を対等にする手続きの完了までに共同購買組織「APO」を解散する。共同購買はルノーと日産のアライアンスによるシナジー(相乗効果)の象徴的な取り組みだった。両社は今後、プロジェクトごとに協業関係を維持するが、出資比率が対等となることで、より競争関係の色合いが強まることが想定される。

共同購買契約の解消はルノーが26日に明らかにした。これを受けて日産は27日、「各社は顧客ニーズの変化に柔軟に対応できるよう、効果的な新しい運営体制を採用する。グローバル戦略を軸とした従来の取り組みから、各社が能力を生かしてより競争力の高い商品やサービスを提供するプロジェクトごとの協業に移行する」とコメントした。

日産、三菱自、ルノーは部品の仕入れだけでなく、設備や物流、サービスなどほぼすべての購買案件で共同購買組織を通していた。日産とルノーの経営トップだったカルロス・ゴーン元会長が逮捕される前年の2017年度には部品や機械設備の調達に加え、グローバルの契約交渉や世界の各拠点のサービスの調達も一元化。大幅なコストの削減や発生回避につながり、同年度のアライアンスのシナジー57億ユーロの創出に貢献した。

ただゴーン元会長の逮捕後は、共同購買を含むさまざまな機能をアライアンス間で統合することについて「統合ありきで非常に非効率なことが現場で起きている」と指摘されるようになっていった。

日産とルノーは7月に出資関係を対等に見直す最終契約を交わした。10―12月中に手続きが完了すれば両社は15%ずつを出資する対等な関係になる。それに伴い、購買に伴う価格情報などを共有することが独占禁止法に抵触する恐れもある。共同購買契約の解消は出資関係を対等にすることによって必要になる手続きでもあった。

今後、日産とルノーは個別に購買活動を行うことになる。自動車の電動化などに伴って地域ごとに異なる規制への対応も欠かせない。意思決定のスピードを迅速にし、個別の地域や事業の変化に対応する考えだが、購買以外でも個別の戦略が増えることで競争領域が拡大するとみられる。


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日刊工業新聞 2023年09月28日

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