「破たん」劇的ビフォーアフター!JALは変わったか(15)8年半ぶりの再開

国際線で席を減らし常識破る。「利用率と単価を両方上げるしかない!」

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経済界からの強い要望で8年半ぶりに関空-ロサンゼルス線の運航を再開
 「関西の財界をはじめ、多くの皆さまから路線再開の要望を頂いて調整してきたが、こうして再就航でき、本当にうれしく思う」。日本航空(JAL)社長の植木義晴は20日の関西国際空港―米ロサンゼルス線の就航セレモニーで、こうあいさつした。JALは1994年の関空開港時からロサンゼルス線を運航していたが、燃油費などコストがかさみ、06年に運航を中止。再開は8年半ぶりとなる。

 航空業界における国際線の市場環境は、関西―ロス線を運休した06年から大きく変化した。中型機で燃費効率がよい米ボーイング787の登場で中都市間を結ぶ路線でも採算確保に道が開けた。また、アジアなど新興国の経済成長で、世界的に旅客流動が拡大し、日本を訪れる訪日外国人も年々増えている。

 こうした市場環境の変化に加え、国際路線事業本部長の米澤章は「共同事業のスキームで、新規路線の成功の確度が高くなっている」と話す。JALは加盟する航空連合「ワンワールド」を通じ、13年2月にフィンランドのフィンエアーとの共同運航で成田―ヘルシンキ線就航。14年4月からは共同事業をスタートし、互いの販売収入をいったん集約して分配している。ヘルシンキは大都市とは言い難く、路線就航は他都市への乗り継ぎが前提になる。米澤は「フィンエアーなしにヘルシンキ線の就航は考えられない」と話す。

 JALは13年1月、国際線の主要路線に新仕様機材「スカイスイート」を導入。従来に比べ座席数を15%程度減らして1席ごとのスペースを広げた。商品を自ら減らす座席数の削減は、従来の航空会社の常識ではあり得なかった。米澤は「席を減らすということは、利用率と単価を両方上げなければならないということ」と話す。

 14年度の国際線の利用率は76%程度を見込み、15年度は77・7%を目標に置く。米澤いわく「経験のない未曾有の利用率」。単価もスカイスイート導入前の12年度に比べ、14年度は8・5%上昇。植木は「座席を減らしても収入は上がった」と話す。JALは公的支援を受け、国土交通省から発着枠の配分などを抑えられている。逆風もある中で、国際線では利用率と単価、どちらも捨てられない勝負に挑む。
 (敬称略)

日刊工業新聞2015年03月27日 建設・エネルギー・生活面

COMMENT

高屋優理
編集局第二産業部
記者

航空会社にとって座席数は、自ら商品の数を減らすことになります。業界の常識を打ち破るJALの挑戦は、今のところ成果を上げています。ただ、激しい競争の中で、次なる一手をどうするのかというのも、もうすでに課題になっています。JALの挑戦は続きます。

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