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太陽光ほぼ吸収せず、東大などが海洋エアロゾル成分の光吸収率決定に成功した意義

東京大学の斉藤翔大大学院生、羽馬哲也准教授らは筑波大学と共同で、気候変動予測に重要な海洋エアロゾル成分の光吸収率を決定することに成功した。海洋エアロゾルに含まれる脂肪酸は、太陽光をほぼ吸収しないことを示した。脂肪酸は太陽光をよく吸収するという90年以上信じられてきた定説を覆した。海洋エアロゾルの光反応の理解が進み、気候変動の予測精度向上につながる。

海洋エアロゾル中の代表的な脂肪酸のノナン酸について、独自開発した精製装置を用いて再結晶を15回繰り返して不純物を除去し、超高純度のノナン酸を精製した。

紫外吸収分光法で紫外光の吸収断面積を調べると、太陽光を含む波長240―310ナノメートル(ナノは10億分の1)での光吸収率は精製前後で大きく変化し、精製後のノナン酸の光吸収率はゼロに近かった。従来研究で示されたノナン酸の高い光吸収は不純物に由来することが分かった。

ノナン酸試薬中の不純物を分析した結果、多様な不純物が含まれており、太陽光を吸収するケトンも含まれていた。

海洋エアロゾルは太陽光を散乱・吸収し、雲の素となり気候に影響を与える。海洋エアロゾルには生物由来の脂肪酸などの有機分子が濃縮し、質量で約4割存在する。

ノナン酸は光反応により雲の素を作るとされてきたが詳細は不明だった。

日刊工業新聞 2023年09月21日

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