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成長支える起爆剤…BYDが日本投入した「小型EV」の全容

成長支える起爆剤…BYDが日本投入した「小型EV」の全容

日本市場向けのコンパクトEV「ドルフィン」と東福寺BYDオートジャパン社長

中国の電気自動車(EV)大手、比亜迪(BYD)の日本法人であるBYDオートジャパン(横浜市神奈川区、東福寺厚樹社長)は20日、コンパクトEV「ドルフィン」を消費税込みで363万円で日本市場に同日投入したと発表した。国の補助金65万円の適用で、実質200万円台で購入可能にした。日本で多い機械式駐車場に収まるボディーサイズに仕上げつつ、広い室内空間を実現。航続距離は満充電で400キロメートルを確保した。

航続距離が476キロメートルと長いロングレンジタイプは消費税込みで407万円。2グレード合計で2024年3月までに1100台の販売を目指す。

ドルフィンの車内。広い室内空間を実現した

ドルフィンは、23年1月に受注を始めたスポーツ多目的車(SUV)「アット3」に次ぐBYDの日本向け乗用車の第2弾となる。全長4290ミリ×全幅1770ミリ×全高1550ミリメートル。他市場向けのドルフィンは全高1570ミリメートルなのに対し、日本市場向けは20ミリメートル抑えた。車種の選択肢を広げ、コンパクトさを生かして都市部のマンション居住者や地方居住者の2台目需要の取り込みを狙う。

「価格、航続距離、安全性の全てがそろった、いわばコンパクトEVの決定版だ」。20日都内で会見した東福寺社長は自信を見せた。BYDのリン酸鉄リチウムイオン電池(LiB)「ブレードバッテリー」と、駆動モーターやトランスミッション(変速機)など八つのモジュールを集約した独自のEV専用プラットフォームを採用。高い安全性、低重心かつフラットな床面、広い車室空間と設計自由度の高さを実現した。

グレードに関係なく安全機能を標準搭載。ドルフィンでは新たに運転手の疲労度を検知・警告する「ドライバー注意喚起機能」や「幼児置き去り検知機能」などを追加した。

BYDオートジャパンはBYD日本法人のビーワイディージャパン(横浜市神奈川区)の完全子会社で、BYD製乗用車の販売を手がける。8月末時点で約700台を販売した。25年末までにショールームを備えた店舗を全国に100カ所以上開設する目標を掲げる。東福寺社長は「ドルフィンの登場は販売をより太くし、しっかりとした成長を支える大きな起爆剤になると考えている」と意気込む。23年末をめどにEVセダンの発売も計画している。

日刊工業新聞 2023年09月21日

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