「現実、現場、現物」で鍛え上げられた新しい企業に有意義な資金が回るか

3月期業績から16年4ー6月期へ、株式市場は上昇気流に期待膨らむ

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鴻海の傘下入りが決まったシャープ。シャープの高橋社長(左)と台湾・鴻海精密工業の郭台銘会長
 2月26・27日に上海で開かれたG20(財務省・中央銀行総裁会議)では具体的な成果が得られず、各国の通貨安戦争への警戒感が高まるなか閉会した直後に、中国は預金準備率を0・5%引き下げた。どの国も国内の景気下支えに勤(いそ)しんでいる。

米株式相場と原油価格の相関性強まる


 米国では金曜日に雇用統計が発表され、3月の政策決定会議で米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを続行するかどうかが注目である。さらに、大統領選挙の前半戦スーパーチューズデー経て、民主党・共和党の候補者指名争いが激化する。大統領選挙では外交・安全保障、そして経済・金融政策が争点となり、マーケットにとってはトランプ氏の言動など、今後不透明な変動要因が増えそうだ。

 注目は、米国の株式相場が原油価格の動向と相関性を高めている点である。その背景には、原油安から産油国の財政が苦しくなり、カタールやUAE、ロシアの政府系ファンドが4000億ドル(約45兆円)もの株式を売却したという実体がある。これが世界株株価を押し下げる要因となっている。

 産油国は1次産品の石油が国富の源泉であり、生産過剰といわれても、その蛇口を止めることはできない。財政悪化を理由に福祉や公共サービスを削減すれば、貧富の格差の大きな産油国では失業や政治不安が宗派対立や民族対立に直結し、既存支配勢力の存在基盤を揺るがすだろう。しばらく原油高には転じないと見込まれる。

さらなるマイナス金利を予想


 こうした相場環境から、世界株安の圧力で国際金融市場はリスクオフに動いて来た。日本市場についても、2月後半までは外国人投資家が6週連続して日本株を売り超してきた。安全資産としての日本国債10年物はマイナス金利をつけた。

 ただし、3月に入り、日本の年度末および今年の第1四半期の決算に向けて、マーケットは株価浮上に期待を向けている。年金基金や企業など年度末決算に向けて、なんとか日経平均株価を昨年12月の水準まで上げたいと望む声は大きい。

 3月15日の日銀の政策決定会合でさらなるマイナス金利を予想する動きもある。そうした期待感が膨らみ、年度末決算相場に向かう上昇気流が起こりそうだ。

「日の丸」を掲げても、グローバル競争のダイナミックな経営力に勝てない


 ところで、実体経済の動きはどうか。戦後70年で、かつての成長産業で大きくなった企業組織では「先輩公社」で経営に芯がなくなった。これではいくら「日の丸」を掲げても、グローバル競争で海外の新興企業のスピーディーでダイナミックな経営力に勝つことはできない。

 日銀のマイナス金利が効いているうちに市場にリスクマネーが還流し、グローバルに勝てる「現実、現場、現物」で鍛え上げられた新しい企業に有意義な資金が回ることを切に願う。
(文=大井幸子・国際金融アナリスト兼SAIL社長)

日刊工業新聞2016年3月4日 金融面

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明豊
執行役員デジタルメディア局長 DX担当

シャープが銀行管理下から解き放たれ、スピーディーにダイナミックに生まれ変わるところを見てみたい。新しい経営陣の元で。

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