過酷下の走行を開発に生かす…自動車ラリー、トヨタ激走で盛況
トヨタ自動車が国内での自動車ラリーの活性化に力を注いでいる。8―10日に北海道帯広市や周辺地域で開かれた「ラリー北海道」には、開発中の車両2台で参戦。同時に豊田章男会長がデモ走行を披露するなどして、大会を盛り上げた。ラリーを一般に根付かせてクルマ好きの裾野を広げると同時に、公道を使いながら過酷な条件で走行するラリーでの経験を、量産車開発につなげる狙いがある。(編集委員・政年佐貴恵)
森や草むらの中を、砂ぼこりや水しぶきを上げながら疾走するラリーカー。集まった多くの観客からは、歓声が上がった。日本で初めてとなる世界大会の開催実績もある北海道での盛り上がりに、豊田会長は「(コースとなる)道の様子や観客と競技者の距離感が世界大会のレベルに近い」と驚きつつ目を細める。
ラリー北海道にはトヨタのモータースポーツチームから、2人の選手が出場した。どちらも乗車したのはアマチュア競技者向けに開発中の車両で、中でも世界ラリー選手権(WRC)の優勝経験もあるヤリ―マティ・ラトバラ選手は、二酸化炭素(CO2)排出量が実質ゼロになる「カーボンニュートラル燃料」を使用した。ラリー大会への出場で得られる知見を、今後の車両開発に生かすのが目的だ。
ラトバラ選手は、新しい燃料の利用など「ラリーを実験の場として使ってもらい量産車に導入すれば、メリットがあるのでは」と、メーカーが参戦する意義を語る。豊田会長は「エンジン音など五感が重要なモータースポーツを楽しむための、選択肢の一つだ」と力を込める。
11月16―19日には、WRCの最終戦となる「ラリージャパン」が愛知県と岐阜県で開かれる。「北海道での盛り上がりを同大会につなげたい」(豊田会長)。モータースポーツを含む自動車産業のさらなる活性化や、車両開発サイクルの向上に役立てる。
【関連記事】 トヨタの世界戦略を支える強力な「日独連合企業」