トヨタが支給材据え置き、主原料・エネ価格考慮
トヨタ自動車は、系列部品メーカーに対して2023年度下期(10月―24年3月)に供給する自動車用鋼材(支給材)の価格を、23年度上期(23年4―9月)から据え置くことを決めた。据え置きは2期連続となる。鉄鉱石や原料炭といった主原料価格や、エネルギー価格を考慮したもようだ。据え置きにより、市中の鋼材価格が、安定して推移する可能性もある。
鉄鉱石は23年4―9月の契約価格の平均値を、原料炭は1―6月の契約価格の平均値をそれぞれ参照したようだ。該当期間において、鉄鉱石はほぼ横ばいで推移し、原料炭は下落した。だが、エネルギーなどの諸コストが上昇を続けていることから、据え置きを決めたとみられる。据え置きにより、代表品種である熱延コイルの価格は、トン当たり15万6500円程度となる。
トヨタの支給材は半年ごとに価格が見直される。トヨタは調達力を生かし、日本製鉄などの鉄鋼メーカーと交渉した上で鋼材を集中購買し、系列の自動車部品メーカーに割安な価格で卸している。
支給材の価格は、取引量の多さから今後の相場に大きく影響する。関東の流通業者からは「ここ最近の原材料価格や需給バランスの状況だと、据え置きが妥当だろう」「店売りの薄板で値下げをしていない流通業者もあるので、価格据え置きというのはマーケットとしてはありがたい」との声があった。
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日刊工業新聞 2023年09月04日