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ナノダイヤに太陽光照射でCO生成…ダイセル、CO2還元技術を実装へ

ナノダイヤに太陽光照射でCO生成…ダイセル、CO2還元技術を実装へ

爆轟法ナノダイヤモンド粉体

ダイセルは工場を発生源とする二酸化炭素(CO2)を還元し、一酸化炭素(CO)を生成する技術を2030年をめどに自社工場の一部に実装する。細胞より小さな微細なダイヤモンド「爆轟(ばくごう)法ナノダイヤモンド」を用いる方法でプロトタイプを月内に製造。実装に向けて課題を洗い出し、検証する。COは化学製品の原料として活用する。同社では実用化に向けた技術開発に他社の知見も必要としており、パートナー企業を募る考え。

実装するのは爆薬を起爆させることによるエネルギーを利用する爆轟法で製造したナノダイヤを使った太陽光超還元技術。直径3ナノ―5ナノメートル(ナノは10億分の1)と微細なナノダイヤに太陽光を照射することで、CO2をCOと酸素に分解する。実装するシステムの規模や工場については今後検証する。

太陽光超還元技術では水中でCO2を還元。太陽光がナノダイヤによる新しい固体触媒と反応することで電子が水中に放出され水和電子となり、水和電子がCO2と反応してCOが放出される。ナノダイヤの構造が反応のカギになるという。

生産技術部門やエンジニアリング部門などで協力し、プロトタイプを用いてスケールアップや実装に向けた検証を進める。

COはダイセルの酢酸セルロース製造やエンジニアリングプラスチックの原料などに使用できる。同社は12年にナノダイヤの開発に着手し、19年からサンプル出荷を開始。太陽光超還元用途では21年にCO2からCOへ還元できることを確認した。COの原料化などでパートナー企業との連携を検討する。

日刊工業新聞 2023年09月04日

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