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初の1000万台超えへ、トヨタの世界生産計画の全容

トヨタ自動車が、2023年1―12月のトヨタ・レクサスブランドの世界生産計画を、約1020万台に設定した。過去最高だった19年の905万台を上回り、初の1000万台超えが視野に入る。旺盛な需要と半導体不足の緩和が大きな要因だ。サプライチェーン(供給網)の維持に不可欠だとする「国内300万台生産」も、4年ぶりの実現を見込む。ただ景気鈍化や生産現場の人手不足などが顕在化。生産変動リスクとの両にらみが一層重要になる。

内訳は国内が約340万台、海外が約680万台。当初は1060万台を基準台数とし、1割程度の下振れの可能性を示していたが、修正計画は当初比3・8%減で、小幅幅な見直しにとどまった。合わせて24年と25年の暦年の世界生産台数見通しについても、それぞれ約1070万台、同1100万台とする方針を固めた。国内生産は約350万台と、拡大する計画だ。

修正計画の背景にあるのは、この2年ほど生産の主なボトルネックとなっていた半導体不足の緩和だ。今も一部で影響は残るものの、大きな減産に至るほどではない。7月の世界生産と海外生産は、同月として過去最高を達成している。

トヨタはハイブリッド車(HV)を中心に、主に新興国で販売台数を伸ばす中期戦略を掲げる。ある一次取引先幹部は「HV生産は25年あたりがピーク」との認識を示す。システムの原価低減で今やガソリン車並みに稼ぐ力を持つHVはトヨタの重要な収益源。増産体制を整え、確実に取り込みたい考えだ。

一方、注視されるのが中国市場だ。電気自動車(EV)シフトの急加速に伴い、内燃機関車の販売が減少。激しい価格競争もあり、トヨタの7月の中国生産は前年比23・5%減の12万7804台に落ち込んだ。計画修正には、こうした減少分を織り込んだようだ。

人手不足の深刻化も懸念材料だ。部品メーカーからは「安定的に高水準な生産が継続するのはありがたい」とする反面、「(コロナ禍以降の低水準な生産に対し)急激な増産対応で人繰りが悩ましい」との声も挙がる。供給網を切らさず、いかに高水準な生産を維持するか。供給網一体での体制構築がカギとなる。


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日刊工業新聞 2023年09月01日

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