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紙のまち・王子の懸案、駅前再開発が動き出す…日本製紙が土地譲渡

紙のまち・王子の懸案、駅前再開発が動き出す…日本製紙が土地譲渡

日本製紙が登記上の本店を置く東京都北区王子1丁目の「サンスクエア」。渋沢栄一らが立ち上げた抄紙会社の流れをくみ、初代王子製紙の王子工場の跡地に建つ

紙のまち・王子で懸案だったJR王子駅前再開発が動き出す。日本製紙は30日、東京都北区王子の土地約1万5117平方メートルと建物を譲渡すると発表した。譲渡先と譲渡額は非公表で、譲渡益は約254億円。2024年3月期に特別利益を計上するが、業績への影響は織り込み済み。24年春に物件を引き渡すが、現在ある商業・スポーツ施設「サンスクエア」は当面営業を継続する。約150年前に渋沢栄一らが設立した「抄紙会社」ゆかりの地の今後が見え始めた。

日本製紙は印刷・情報用紙の需要低迷に伴い、抄紙機数の縮小や生活事業強化など構造転換を進める。24年3月期業績の黒字化に取り組む中での決定だ。売却先は大手デベロッパーとみられ、東京都北区の「王子周辺まちづくり」の一環として民主導の再開発につなげる見通し。近隣の国立印刷局の一部用地に約10年後の完成を目指す区役所新庁舎プロジェクトがあるが“先行案件”となるだけに地元、関係者の関心は高い。

紙のまち・王子は渋沢栄一らが抄紙会社を立ち上げたのに由来する。初代の王子製紙となり、戦後の財閥解体で十條製紙、苫小牧製紙、本州製紙に分割。サンスクエアが建つ旧王子工場など周辺資産は十條製紙(現日本製紙)に継承され、現在登記上の本店を置く。

子会社が運営するサンスクエアはボウリング場が約50年の歴史を持つが、駅前一等地とあって商業・オフィス集積の低さが指摘されていた。再開発は何度か検討されたものの企業再編などで後手に回っていた。譲渡決定を東京商工会議所北支部の越野充博会長(越野建設社長)は「どう最適な再開発手法をとれるかが課題だ。地権者、事業者の意欲を高める再開発とし、渋沢栄一ゆかりの地としてのにぎわいにつなげてほしい」と期待する。

日刊工業新聞 2023年08月31日

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