ニュースイッチ

「生成AI」開発・教育への活用に140億円。実証研究も

文部科学省は生成人工知能(AI)に関する研究開発を強化する。信頼性の高い次世代基盤や科学研究向け生成AIの開発、人材育成といった科学技術分野を推し進める一方、小中学生の授業や校務への取り入れなど教育分野にも力を入れる方針。2024年度予算の概算要求に生成AI関連で140億円超を盛り込む。一般会計の総額では23年度当初予算比11・9%増の5兆9216億円を要求し、うち科学技術関連は1兆1859億円になる見通し。

世界中で研究開発を進めており、急成長している生成AIに関して日本でも基盤研究の強化に乗り出す。文科省の24年度予算の概算要求では、生成AIの透明性・信頼性確保の研究に30億円、科学研究用モデルの基盤開発に85億円、人材育成に25億円充てる。生成AIに特化した半導体の開発も進め、省電力で高速に情報処理できる技術を確立する。

生成AIは教育系でも新たに取り入れる。一人1台端末を配備する「ギガスクール構造」の一環で、チャットGPTといった既存の生成AIと連携して学校現場向けツールの導入を実施予定。生成AIなどの先端技術の教育活動に関する諸外国の動向調査も含めて2億円を計上する。

また小中学校の校務のデジタル化を進める上で、生成AIを活用する実証研究に1億円充てる。機密情報が自治体や学校外に漏れないよう対策し、民間1社と実証地域2市町村を選んで実践する。

このほか、次世代放射光施設「ナノテラス」の整備・供用に38億円、大学発医療系スタートアップ支援プログラムに24億円などを新規で充てる方針。また宇宙関連予算が前年度より約500億円増額となる2064億円を要求する。大型基幹ロケット「H3」の再度打ち上げなど、日本の宇宙開発を促進させる。

日刊工業新聞 2023年08月28日

編集部のおすすめ