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「富岳」の理研と「オーロラ」のアルゴンヌ研が提携…日米で科学基盤モデル研究

「富岳」の理研と「オーロラ」のアルゴンヌ研が提携…日米で科学基盤モデル研究

アルゴンヌ研のスパコン「オーロラ」(インテル提供)

理化学研究所は米エネルギー省(DOE)のアルゴンヌ国立研究所と科学研究用の人工知能(AI)モデルの開発について日米協定を結ぶ。アルゴンヌ研は最大1兆パラメーターの科学基盤モデルの開発を進めている。スパコン「富岳」を運用する理研計算科学研究センターが中心となり、アルゴンヌ研と連携して科学基盤モデルを構築する。医学や化学、材料科学などの幅広い分野に提供する。

理研とアルゴンヌ研で基盤モデル研究のパートナーシップを結び、2024年度にも共同研究を始める。文科省とDOEは協定を結んでおり量子技術や通信、コンピューティングなどの分野で協力関係にある。

アルゴンヌ研はスパコン「オーロラ」を6月に完成。理論ピーク性能は2エクサフロップス(エクサは100京)を超えて世界1位になると見込む。オーロラを用いて科学テキストや研究データ、コードを学習させた基盤モデルを開発する。生成系AIとして実験の提案や膨大な情報の統合などに用いる。インテルなどが参画する。

理研も測定データや画像、論文などを学習させた基盤モデルを24年度事業で開発する計画だ。産学に知見を提供し、研究や創発のメカニズムを変えていく。

富岳は現在世界2位でCPUをベースとする。AIの大規模並列計算はGPUが向くが、基盤モデルの生成工程ではメモリーやプロセッサー間の通信が重くなりCPUが有利になると見込む。オーロラと富岳という日米首位のスパコンでAI開発を進める。

日刊工業新聞 2023年08月28日

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