《中堅電子部品メーカーの生きる道#06》日本ケミコン&日本セラミック
最終回
**日本ケミコン・内山郁夫社長
―電気二重層キャパシター(EDLC)の採用状況は。
「自動車の回生エネルギーシステム向けなど車メーカー2社、計10車種に採用が広がった。2015年度は原油安の影響を受け売り上げがやや伸び悩んだが、中長期で需要は拡大する。車の回生システム以外の用途開拓も進め早期に売上高100億円を実現したい」
―EDLCの特性を上回る次世代蓄電デバイスの開発を進めていますが、進捗(しんちょく)は。
「従来のEDLCよりエネルギー密度が約3倍と高いのが特徴。車1台に搭載する本数が減らせるため、軽量化による燃費改善に役立つ。17年度中の量産開始を目指す」
―16年度の投資は。
「設備投資は前年並みを維持する一方、研究開発費は増額する。ここ数年(開発費)は売上高構成比率の4%前後に設定している。『少し金額が高いのではないか』という指摘を受けることもあるが、次の成長を支える新材料、新商材開発への投資は我々にとって必要不可欠だ」
―20年代初頭に売上高2000億円(15年度見通しは1170億円)を目指す長期目標を掲げていますが、達成に向けての課題は。
「材料調達、販売といった海外におけるサプライチェーンの強化や部品のモジュール・システム化への対応などがある。現状、具体的な案件はないが、課題をクリアするための手段の一つとして、M&A(合併・買収)は必要になるだろう」
【記者の目/国内外で営業体制強化】
ティア1(1次取引先)として、EDLCをホンダとマツダの日系車メーカー2社に供給している。その一方で、海外完成車や車載機器メーカーへの採用はまだない。次世代蓄電デバイスの開発や用途開拓はもちろん、国内外でマーケティングや営業体制を強化することが、同分野でより優位性を高めていくために必要だ。
(聞き手=下氏香菜子)
―センサーの需要状況はどうですか。
「社長就任以来、海外の客先などを積極的に訪問している。いいニュースは聞こえてこず、売り上げをぐっと伸ばす目標は立てにくい。できるのは足元を見つめ直すこと。仕掛品を減らして品質を高めるといった工程改善に取り組んでいく」
―2月に公表した20年までの中期経営計画でも、売上高よりは利益を伸ばす内容になっています。
「売上高も年率5%伸ばすので、実はそう控えめな計画ではないが、伸びの柱は車載向けと、省エネや照明向け。いろいろと社外の工場を見て回る中で、自分たちの工場はまだまだ改善の余地があると気付いた。利益率はもっと高められる」
―改善の施策は。
「中間在庫をなくし、ぎゅっとコンパクトにした生産ラインを作る。フェライトを生産する湖山工場(鳥取市)で導入を考えている。工場自体老朽化していて直す必要があるし、国内に投資すればモチベーション強化や人材育成につながる。汎用品のフェライトなんてやめたらとも言われるが、仕事の幅を広げる上では不可欠だ」
―海外生産は。
「昨年中国の工場を一つ閉じた。全体的に車載向けの比率が高まっており、そのためにも国内での高品質、高付加価値なモノづくりが重要になっており、設備投資もする。海外工場はフィリピンや中国の今ある工場以外での新設は考えにくい」(おわり)
【記者の目/用途拡大、成長のカギ】
人を検知する赤外線センサーと、車に積まれ障害物検知に使われる超音波センサーで高いシェアを持つ。為替状況もあり生産の国内回帰で高付加価値・高品質路線を進もうとしている。成長のカギは用途拡大にある。モノのインターネット(IoT)分野でも用途が広がりそうで、うまくすくい取る提案力が求められる。
(聞き手=広島・清水信彦)
―電気二重層キャパシター(EDLC)の採用状況は。
「自動車の回生エネルギーシステム向けなど車メーカー2社、計10車種に採用が広がった。2015年度は原油安の影響を受け売り上げがやや伸び悩んだが、中長期で需要は拡大する。車の回生システム以外の用途開拓も進め早期に売上高100億円を実現したい」
―EDLCの特性を上回る次世代蓄電デバイスの開発を進めていますが、進捗(しんちょく)は。
「従来のEDLCよりエネルギー密度が約3倍と高いのが特徴。車1台に搭載する本数が減らせるため、軽量化による燃費改善に役立つ。17年度中の量産開始を目指す」
―16年度の投資は。
「設備投資は前年並みを維持する一方、研究開発費は増額する。ここ数年(開発費)は売上高構成比率の4%前後に設定している。『少し金額が高いのではないか』という指摘を受けることもあるが、次の成長を支える新材料、新商材開発への投資は我々にとって必要不可欠だ」
―20年代初頭に売上高2000億円(15年度見通しは1170億円)を目指す長期目標を掲げていますが、達成に向けての課題は。
「材料調達、販売といった海外におけるサプライチェーンの強化や部品のモジュール・システム化への対応などがある。現状、具体的な案件はないが、課題をクリアするための手段の一つとして、M&A(合併・買収)は必要になるだろう」
【記者の目/国内外で営業体制強化】
ティア1(1次取引先)として、EDLCをホンダとマツダの日系車メーカー2社に供給している。その一方で、海外完成車や車載機器メーカーへの採用はまだない。次世代蓄電デバイスの開発や用途開拓はもちろん、国内外でマーケティングや営業体制を強化することが、同分野でより優位性を高めていくために必要だ。
(聞き手=下氏香菜子)
日本セラミック・谷口真一社長
―センサーの需要状況はどうですか。
「社長就任以来、海外の客先などを積極的に訪問している。いいニュースは聞こえてこず、売り上げをぐっと伸ばす目標は立てにくい。できるのは足元を見つめ直すこと。仕掛品を減らして品質を高めるといった工程改善に取り組んでいく」
―2月に公表した20年までの中期経営計画でも、売上高よりは利益を伸ばす内容になっています。
「売上高も年率5%伸ばすので、実はそう控えめな計画ではないが、伸びの柱は車載向けと、省エネや照明向け。いろいろと社外の工場を見て回る中で、自分たちの工場はまだまだ改善の余地があると気付いた。利益率はもっと高められる」
―改善の施策は。
「中間在庫をなくし、ぎゅっとコンパクトにした生産ラインを作る。フェライトを生産する湖山工場(鳥取市)で導入を考えている。工場自体老朽化していて直す必要があるし、国内に投資すればモチベーション強化や人材育成につながる。汎用品のフェライトなんてやめたらとも言われるが、仕事の幅を広げる上では不可欠だ」
―海外生産は。
「昨年中国の工場を一つ閉じた。全体的に車載向けの比率が高まっており、そのためにも国内での高品質、高付加価値なモノづくりが重要になっており、設備投資もする。海外工場はフィリピンや中国の今ある工場以外での新設は考えにくい」(おわり)
【記者の目/用途拡大、成長のカギ】
人を検知する赤外線センサーと、車に積まれ障害物検知に使われる超音波センサーで高いシェアを持つ。為替状況もあり生産の国内回帰で高付加価値・高品質路線を進もうとしている。成長のカギは用途拡大にある。モノのインターネット(IoT)分野でも用途が広がりそうで、うまくすくい取る提案力が求められる。
(聞き手=広島・清水信彦)
日刊工業新聞2016年3月2日 電機・電子部品・情報・通信