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プラスチックの耐熱性向上へ、愛媛大が側鎖密度2倍で高分子の融点向上に成功

プラスチックの耐熱性向上へ、愛媛大が側鎖密度2倍で高分子の融点向上に成功

開発した高分子のイメージ(愛媛大提供)

愛媛大学の下元浩晃准教授と井原栄治教授らは、高分子の側鎖密度を倍にして融点を高めることに成功した。側鎖にアミド結合を導入し、側鎖間で水素結合を起こす。従来は高分子の主鎖を剛直に設計して融点を高めてきた。プラスチックの耐熱性を高める新しい設計指針になる。

ジアゾ酢酸エステルを重合して主鎖のすべての炭素に側鎖が結合している高分子を作製した。ポリプロピレンなどの汎用樹脂は主鎖炭素の一つおきに側鎖が結合している。ジアゾ化合物を用いるとすべての炭素に側鎖を導入でき、側鎖の密度が倍になる。

この側鎖の分子構造を炭素原子15個分と長く設計した。側鎖の真ん中にアミド結合を導入し、側鎖同士を水素結合させる。すると融点が130度Cとなった。同じ側鎖を一つおきに配置すると融点は向上しない。側鎖を高密度に配置したことが耐熱性につながった。

従来は主鎖に二重結合を導入するなど、主鎖を剛直に設計してきた。新しい設計指針は機能性プラスチックの開発につながる。

日刊工業新聞2023年8月11日

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