ニュースイッチ

食事との相性解析、最適なコーヒー提案―UCC上島珈琲、マッチングシステム開発

 【神戸】UCC上島珈琲(神戸市中央区、上島昌佐郎社長、078・304・8888)の研究機関であるUCCイノベーションセンター(大阪府高槻市)は、コーヒーと食べ物の相性を科学的に解析し、最適なコーヒーを提案するシステム「UCCフードマッチングシステム」を開発した。味覚を数値化する最新の味覚分析技術を活用。食べ物のメニューに最も相性のよいコーヒー提案やコーヒーの味わいを高めるメニュー開発などに応用できる。

 現在、特許出願中のシステムは、熟練のコーヒー鑑定士の舌を再現した独自の味覚センサーが食べ物の味を分析し、苦味、渋味、塩味、苦味の後味、旨(うま)味、酸味の6項目に分け数値化。これをグラフで可視化し、最も相性のよい味覚のコーヒーを提案する。

独自焙煎で香りアップさせる新装置も稼働開始


 【神戸】UCC上島珈琲は、一般的な熱風焙煎機に比べ苦みを抑え、香りを約70%高めた独自焙煎機「アロマスター=写真」を六甲アイランド工場(神戸市東灘区)に設置、稼働した。周辺機器を合わせた投資額は約12億円。新型機導入により同工場の一般向け見学ツアーを刷新するほか、今後は新型機を「UCC富士工場」(静岡県富士市)へも導入していく。

 アロマスターは、熱風にスチームを新たに加えることで豆の中心部の過剰な加熱を抑える新製法や焙煎中の豆の温度を自動制御するシステムを採用し、芯までムラなく焙煎することで苦味や渋味を抑えた。焙煎後はマイナス2度Cの冷気で急速冷却することで香りを豆に閉じこめた。

 一般の熱風焙煎機に比べ、香気量を約70%向上させた一方、廃熱の再利用でエネルギーの総使用量は約75%削減した。稼働音は約20%低減した。直径約4メートルの円筒形で1回当たり500キログラムの豆が約12―13分で焙煎できる。

 新型焙煎機で生産した豆は、3月2日から家庭用レギュラーコーヒー「UCC薫るオリジナルブレンドVP200グラム」など3種類として量販店を中心に発売する。価格は従来品と同程度に抑え、3種類合計で初年度10万ケース(1ケース=200グラム×24個)の販売を目指す。
日刊工業新聞2016年3月2日 建設・エネルギー・生活2面/2015年2月18日 建設・エネルギー・生活2
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
“サードウェーブ”など、コーヒーをめぐる商戦が続いています。老舗UCCも興味深い新技術を投下してきています。コーヒーは豆やブレンド、焙煎方法、淹れ方も種類が豊富で迷ってしまうので、食べ物によってコーヒーを提案してくれるシステムは助かります。

編集部のおすすめ