ニュースイッチ

「地域中核・特色大学」25枠に69大学…申請大学の「予想外」

文部科学省の新規施策「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業」に69大学が申請した。内訳は国立大学39件、公立大学7件、私立大学23件。連動する「地域中核・特色ある研究大学の連携による産学官連携・共同研究の施設整備事業」に採択されていない大規模大学からの申請も目立った。枠は2024年度以降の分も含め25件。選定結果は12月下旬ごろに公表する。

同事業は地域の中核大学や特定分野に強みを持つ大学の支援が目的。文系大学からの申請もあった。一橋大学は社会実装を念頭に置いた社会科学の研究拠点形成を提案した。

私立の大規模大学からの申請もあった。東海大学が情報医理工融合による個別最適化医療、近畿大学が医療生命情報と総合知をテーマに応募した。

同事業は研究資源の融通などの大学間連携を想定する。一方で単独での申請は10件あった。審査では「なぜ同事業でないと研究・大学改革ができないのか」が問われそうだ。

国公私立大の研究力強化を支援する文科省新制度、骨子が示した5つのイメージ

日刊工業新聞 2023年08月09日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
個人的に予想外だったのは、教育が中心の大規模私立大学の申請が多くあったことだ。上智大、中央大、東海大、東洋大、近畿大…。文科省が私大連などにも説明に周り、「本事業への申請をもって、日本の研究大学群に加わることを宣言する」(文科省の産業連携・地域振興課)という意識を高めた結果か、と思う。いずれも施設整備の関連事業には出していないため、文科省のヒアリングなどを通じてこれから、国が求める「研究×経営の大学改革」を理解することになるだろう。担当課は「同事業は拠点事業ではない」という中で、「社会科学の研究拠点を形成する」とした一橋大も同様だ。また施設整備の方は採択されず起死回生を狙う北大や、ジェンダードイノベーションで波に乗るお茶の水女子大なども注目だ。採択の可否にこだわらず、研究大学に向けた大学改革を進める意識が、多くの大学に醸成される効果を期待している。

編集部のおすすめ