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電源失うと縮む下水道点検ロボットが誕生、ワイヤ引き上げ簡単回収

電源失うと縮む下水道点検ロボットが誕生、ワイヤ引き上げ簡単回収

シンプルな脱出機能を付けた配管点検ロボ「Xbot1」

立命館大学の加古川篤准教授と産業技術総合研究所の山本知生研究員は、緊急脱出用収縮機能付きの配管点検ロボット「Xbot1」を開発した。断線などで電源を失うと縮む機構を搭載した。ローラーを配管壁面に押しつける力を失うため引っ張って回収できる。3インチ管に進入することが可能。実際に下水道圧送管へ投入し異常を特定した。修復工事後の確認にも利用して実用性を確かめた。

4輪の推進ユニットをX字のフレームに配置した。Xフレームにバネを仕込み、管径方向に対して縮む力を常に働かせる。そしてロボットの後方にワイヤのけん引ユニットを配置して張力をかける。走行時は張力と縮む力が拮抗(きっこう)しつつも、張力が勝りXフレームは膨らむ。すると配管壁面に4輪が押しつけられ前進できる。

トラブルで電源を失うと張力がなくなり、Xフレームが縮む。車輪は壁面から離れて回収できるようになる。従来はトラブル時にロボットが管内で詰まるリスクがあった。

点検ロボは重さ890グラムで移動速度は秒速47ミリメートル。3インチ管に対応する。下水道圧送管に投入して木の根が侵入して下水が漏れている場所を特定した。

圧送管は下水をくみ上げて高さを確保し遠くへ流す役割がある。圧力を高めるために細くなっている。細い配管は複雑な機構の点検ロボは入らず、シンプルな脱出機能が求められていた。

下水道の点検は硫化水素での死亡事故が起きることがある過酷な作業。このためロボット化が望まれている。

日刊工業新聞 2023年08月10日

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