<追記>風力発電、コスト8-9円は実現可能 技術革新で大幅減
30年目標 業界団体3620万キロワット VS 政府案1000万キロワット
日本風力発電協会は29日、風力発電の普及に向けた「ウィンドビジョン」をまとめ、2030年までに1キロワット時の電力を作る発電コストが8-9円まで低減できる試算を発表した。技術革新で現状よりも10円近く抑え、系統電力を下回る安価な電力を供給できるという。電力系統に接続できる量も現状よりも多いとの見通しも示した。
風力発電が抱える課題について業界団体として解決策を示した。高本学代表理事(日立製作所新エネルギーソリューション事業部長)は「国民負担の抑制などの議論が我々に足りなかった。具体的な解決策を社会に示し、導入を増やす議論をしていきたい」と語った。
同協会は30年度の導入目標3620万キロワットとしている。現状比10倍の導入を目指すが、政府が15年7月に決めた30年度のエネルギーミックス(電源構成)では1000万キロワットにとどまり、目標と開きが大きい。
発電コストの高さが普及への課題として指摘されている。同協会は量産効果や稼働率向上、技術革新で建設費を圧縮して低減できるとまとめた。1キロワット時当たり9-8円に到達すると火力発電や卸電力市場価格を下回る。
天候で変動する発電量も課題。風の強い日に大量の電力が電力系統に流れ込まないように、電力会社は風力発電との接続に慎重になっている。同協会は小刻みに停止、発電を繰り返す制御を導入した時の影響を評価した。陸上だけで2660万キロワットを接続でき、政府案を上回る導入が可能と見通した。
政府は、昨年のパリ協定の採択を受けて、4日の環境省・経産省の合同審議会で、2030年の温室効果ガスを13年比26%減らす「地球温暖化対策計画」の原案をまとめた。部門別に産業7%、業務・オフィス40%、家庭39%、運輸28%、エネルギー転換28%の削減目標を掲げた。
しかし家庭や企業の節電努力に期待しても限界がある。従って国内の温暖化ガス排出量の40%を占める発電部門の削減が肝要で、原発再稼働と再生可能エネルギーに期待せざるを得ない。
29日の日本風力発電協会の発表によれば、2030年、風力発電は1キロワット当り8~9円で3620万キロワット供給できるという。
十分、競争力のあるコストだ。となると、再生可能エネルギー大量導入に対する電力システムのスマート化が必要となる。
供給量不安定な大量の再生エネ電源導入の中で、送電による周波数調整を行い、揚水発電と蓄電池の最適需給運用計画・制御を行い、系統を最適に運用することが求められる。
風力発電が抱える課題について業界団体として解決策を示した。高本学代表理事(日立製作所新エネルギーソリューション事業部長)は「国民負担の抑制などの議論が我々に足りなかった。具体的な解決策を社会に示し、導入を増やす議論をしていきたい」と語った。
同協会は30年度の導入目標3620万キロワットとしている。現状比10倍の導入を目指すが、政府が15年7月に決めた30年度のエネルギーミックス(電源構成)では1000万キロワットにとどまり、目標と開きが大きい。
発電コストの高さが普及への課題として指摘されている。同協会は量産効果や稼働率向上、技術革新で建設費を圧縮して低減できるとまとめた。1キロワット時当たり9-8円に到達すると火力発電や卸電力市場価格を下回る。
天候で変動する発電量も課題。風の強い日に大量の電力が電力系統に流れ込まないように、電力会社は風力発電との接続に慎重になっている。同協会は小刻みに停止、発電を繰り返す制御を導入した時の影響を評価した。陸上だけで2660万キロワットを接続でき、政府案を上回る導入が可能と見通した。
ファシリテーター・永里善彦氏の見方
政府は、昨年のパリ協定の採択を受けて、4日の環境省・経産省の合同審議会で、2030年の温室効果ガスを13年比26%減らす「地球温暖化対策計画」の原案をまとめた。部門別に産業7%、業務・オフィス40%、家庭39%、運輸28%、エネルギー転換28%の削減目標を掲げた。
しかし家庭や企業の節電努力に期待しても限界がある。従って国内の温暖化ガス排出量の40%を占める発電部門の削減が肝要で、原発再稼働と再生可能エネルギーに期待せざるを得ない。
29日の日本風力発電協会の発表によれば、2030年、風力発電は1キロワット当り8~9円で3620万キロワット供給できるという。
十分、競争力のあるコストだ。となると、再生可能エネルギー大量導入に対する電力システムのスマート化が必要となる。
供給量不安定な大量の再生エネ電源導入の中で、送電による周波数調整を行い、揚水発電と蓄電池の最適需給運用計画・制御を行い、系統を最適に運用することが求められる。
日刊工業新聞2016年3月1日 総合4/国際面