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半導体を長期供給、ロームが産業機器向け専用サイトを立ち上げた狙い

半導体を長期供給、ロームが産業機器向け専用サイトを立ち上げた狙い

ロームが立ち上げた専用サイト。「長期供給プログラム」対象製品などを開示している

ロームは長期的な需要が見込まれる製品を対象に10―20年間の供給期間を設定し、顧客が継続して調達できる体制を構築した。専用サイトを立ち上げ、長期供給製品やそれらの供給期間などの情報を公開した。特定の品を長期発注することが多い産業機器メーカーの需要を狙ったもので、ロームとして初めての取り組み。開示情報はそれを保証するものではなくあくまで目安。製品の供給方針を明示することで顧客による採用部品の検討を効率化し、受注獲得につなげる。

産業機器向けで長期需要のあるパワー・アナログ半導体を中心に「長期供給プログラム」管理製品としてまとめた。管理製品はロームの生産体制や装置、材料調達状況などを考慮して選定。製品ごとの供給期間・状況を専用サイト上で公開した。掲載情報は1年に一度、4月に更新する。

サイトに掲載する製品数は1200品番超で、産業機器向けのパワー・アナログ半導体のほか、車載向け部品やサーマルプリントヘッド、発光ダイオード(LED)なども含む。

産業機器や自動車は製品化されてから10―20年間、同一部品を組み込んだ製品を量産し続けることが多い。ただ部品メーカーに対して同一の部品を大量発注する大口顧客は、部品の長期供給などに関わる調達交渉を有利に運べる一方、中・小口顧客は交渉力が相対的に低く採用部品の検討に頭を悩ますケースが多いという。ロームは供給方針を明示して幅広い顧客が採用部品の検討をしやすくすることで、顧客から“選ばれるメーカー”を目指す。

同社は産業機器市場・車載市場を注力市場に位置付け、販促活動を強化している。同市場で競合する海外の大手半導体メーカーも製品の供給期間を明示する同様の取り組みをしているという。


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日刊工業新聞 2023年07月28日

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