化学物質情報の伝達、業界標準へキヤノン、ソニーなど30社が賛同

電機・電子業界のスキーム集約。中小企業の負担は減るか

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 経済産業省主導で開発した化学物質情報伝達の新スキーム「chemSHERPA」(ケムシェルパ)の本格運用に向け、キヤノン、ソニー、富士フイルムが賛同を表明する。キヤノンは2017年前半にも既存スキームからケムシェルパに移行する予定だ。経産省が3月1日にもホームページ(HP)に賛同企業を掲載、3社以外に約30社・団体が名を連ねる。電機・電子業界に複数あるスキームが集約に向けて動きだす。

 スキームは製品に含まれている化学物質情報を取引先に伝える共通ルール。ケムシェルパを利用する企業同士なら対象物質などが共通なので、円滑に情報を伝達できる。経産省は15年秋、ケムシェルパ用の情報記載シートを開発して、提供を始めた。

 キヤノンは17年前半の移行を目指し、16年前半からシートの受け渡しを試行していく。ソニー、富士フイルムとも既存スキームからの移行時期は未定だが、ケムシェルパを導入する予定だ。他に賛同したアイリスオーヤマ、全国中小企業団体中央会、DICが経産省のHPに掲載される。

 経産省はケムシェルパの普及を促そうと、賛同者を一覧で公表することにした。HPを確認した大企業の取引先もケムシェルパへの移行準備を始められる。賛同者の募集を続け、3月末にも追加公表する。

 電機・電子業界には大企業が構築した二つのスキームが存在する。他にも企業の独自調査もあり、中小企業は取引先によってスキームを使い分けている。経産省はスキームの乱立が中小企業の負担になっていると考え、業界標準となるケムシェルパの開発を進めてきた。18年の完全移行を目指す。

日刊工業新聞2016年2月29日

COMMENT

松木喬
編集局第二産業部
編集委員

 経産省が化学物質情報の伝達スキーム「ケムシェルパ」の賛同企業をHPで公表するのは、産業界に普及を促すためだ。標準スキームの登場を望む企業も経産省のHPに社名を掲載することで、サプライヤーに採用を検討してもらう。もともとスキームの考え方は、欧州発の化学物質規制への対応を効率化しようと生まれた。大企業が製品に使われた物質を調べるのは事実上、不可能。そこでサプライヤーから部品の物質情報を提供してもらおうと、調査対象物質などのルールを定めたスキームができた。電機業界にはアーティクルマネジメント推進協議会と旧グリーン調達調査共通化協議会の二つのスキームがある。ただし”真の標準“は存在しない。自社のグリーン調達基準も併用し、規制物質が含有しない証明書をサプライヤーに求める大企業も少なくない。取引先の多いサプライヤーほど、同じ部品でも複数のスキームや基準で管理しており中小企業には負担だった。

キーワード
ケムシェルパ 経産省

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