東京五輪に向け技術革新―内閣府総合科学技術・イノベーション会議議員・久間和生氏

“課題解決”に重点

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久間和生氏
 2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、科学技術の取り組みが加速している。内閣府は水素エネルギーシステムや次世代都市交通システムなど九つのテーマで研究プロジェクトを推し進める。4月からは産学官の連携を盛り込んだ「第5期科学技術基本計画」もこれを後押しする。内閣府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI、議長=安倍晋三首相)の久間和生議員に今後の取り組みを聞いた。

―研究プロジェクトの狙いは。

「64年の東京大会で国民は『とにかく豊かになりたい』と願い突き進んできた。この時には新幹線と衛星放送という二つの大きな技術の躍進があり、人々の生活スタイルが大きく変わった。これに匹敵するようなイノベーションを20年に起こしたい」

―半世紀前の東京大会との違いは。

「今は高齢化やテロ、環境問題など人類が抱える課題が明確になってきた。自動翻訳により海外からの来訪者をストレスなく誘導する仕組みや次世代都市交通システムなどは大会のために訪日する外国人だけでなく、実社会で抱える課題の解決にもつながっていくだろう。こうした課題を解決するための技術を開発し、海外に技術を輸出できれば日本の産業競争力を高められる」

―実用化に向けて、どのようにプロジェクトを進めていきますか。

「研究テーマごとに実用化までにかかる時間は異なる。各テーマの達成目標時期をロードマップにするなど計画を明確にし、継続してテーマに取り組むことが大切だ。第5期科学技術基本計画では産学官が一体となって研究開発を進めることを掲げている。産業界には最初からプロジェクトに参加してもらうことが実用化にとって重要だ」

【略歴】きゅうま・かずお 77年(昭52)東京工業大学大学院電子物理工学専攻修了、同年三菱電機入社。11年副社長、12年常任顧問。13年内閣府総合科学技術会議(現内閣府総合科学技術・イノベーション会議)常勤議員。工学博士。東京都出身、66歳。


【記者の目/産学官連携、より重要に】
内閣府は20年の東京大会開催に向けて、科学技術イノベーションに関するタスクフォースを14年8月に立ち上げ、プロジェクトを進めてきた。第5期科学技術基本計画では研究開発に産業界が深く関わることが重要という方針を打ち出している。開催までに科学技術での産学官の連携がいっそう重要になるだろう。
(聞き手、文=冨井哲雄)

日刊工業新聞2016年2月29日 科学技術・大学面

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昆梓紗
デジタルメディア局DX編集部
記者

3月10日にはキックオフとして「2020年に向けた科学技術イノベーション シンポジウム」が開催され、9つのプロジェクトに関する概要紹介およびパネルディスカッションが行われます。

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