《石油大再編#02》出光&昭和シェル コスト削減の余地はあるのか?

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昭和シェル石油の亀岡社長(左)と出光興産の月岡社長
**出光興産・月岡隆社長「マージン改善で競争力」
 ―昭和シェル石油との合併を決めた理由を聞かせてください。
 「国内の燃料油需要は想定を相当下回っており、過当競争、過剰設備の解消には再編が不可避だ。両社はすでに非効率な製油所を廃棄し、地理的な重複がない場所に競争力のある製油所を持つ。(過剰設備の合理化を)やりきった会社同士が一緒になれば、さらに強くなれる。悪い箇所を統合によって改善するのとは訳が違う」

 ―合併5年後の目標である年間500億円の収支改善効果の算定根拠を示して下さい。
 「物流などの効率化で、500億円程度はコストを減らせる。加えて販売価格をコントロールする力が強まるとともに、需給環境整備が進むことで、過当競争下では確保しきれなかったマージンも上乗せできる。このような効果を出せないなら統合の意味がない」

 ―目標より積み増せるということですか。
 「それを期待している。透明で公正なマーケットをつくり、業界の構造的な課題を克服したい。コスト競争力を高め、マージンを増やすことで収益を伸ばし、海外市場などの成長分野へ出て行く」

 「成長戦略の検討はこれからだが、下流部門から撤退する資源メジャーが相次いでいる実態を踏まえる必要があろう。精製・販売で実績がある日本の石油会社と中東産油国が組み、東南アジアなどの成長市場で従来、メジャーが果たしてきた役割を担えば、新たな商機になるはずだ」

 ―電力事業にはどう取り組みますか。
 「合併でLNG(液化天然ガス)火力、石炭火力、再生可能エネルギーと競争力のある電源がそろい、今後の展開に弾みが付く。うちとしてはいずれ再生エネの電源を使い、家庭向けに電力を販売することも検討したい」

昭和シェル石油・亀岡剛社長「世界で勝つ基盤つくる」


 ―なぜ出光興産と合併するのですか。
 「石油元売り会社にはエネルギーの安定供給という社会的責任があるが、危険物を扱う石油事業には多額の資金が必要で、財務基盤がしっかりしていないと安定供給を担保できない。エコカーの普及や人口減少が進み、石油の国内需要が右肩下がりになる中で、きちっとした財務基盤をつくるため、経営統合を急ぐ必要があった」

 ―製油所の統廃合を伴わなければ、合併の効果は限定されるとの指摘についてはどう考えますか。
 「両社は成長への足かせになる製油所の統廃合を、個々に進めてきた。それだけに残った製油所は強い。うちの製油所ネットワークは稼働率や2次装置の装備率が高く、業界最強だと自負する」

 「次いで出光だ。両社の製油所は地理的に補完関係にある。物流網や販売網も互いに有効活用でき、直ちに強みを発揮できる。もう(製油所の統廃合で)ぜい肉を落とせるかどうかを論じる段階ではない」

 「肝心なのは(輸出向けを主体に大規模な生産を手がける)アジア勢などと世界で戦って勝てる製油所ネットワークがあるかどうかだ。我々は2社のどの製油所で、どのような原油から何をつくれば一番(大きな利益を生む)かを追求できる」

 ―電力事業はどう展開しますか。
 「うちは天然ガス火力やバイオマスなどの電源を擁し、安定供給の面で強みになる。出光も地熱発電や風力発電、太陽光発電に取り組んでいる。卸市場への供給や(すでに自由化されている)大口需要家向けの販売も含めてベストミックス(の事業モデル)をつくれる。家庭向けの販売では液化石油ガス(LPG)の特約店網を生かして攻めのビジネスを展開したい」

【記者の目・過当競争の弊害打破を】
 石油業界の再編ではとかく、大きな合理化効果が見込める製油所の統廃合に目が向きがちだ。これに対して月岡、亀岡の両社長は非効率な設備の合理化にいち早く取り組み、生産性が高まった者同士が一つになることの優位性を強調する。世界の強豪に比べて国内勢は設備稼働率が低く、生産性が劣る。マージンの改善に向けた需給環境整備を含め、国内での過当競争がもたらす弊害の打破につながる業界再編が急がれる。
(聞き手=宇田川智大)

日刊工業新聞2016年2月26日エネルギー面

COMMENT

村上毅
編集局ニュースセンター
デスク

出光―昭シェルはJX-東燃ゼネに比べ、製油所の重複が少ない。統合の焦点である製油所の重複が少ないことは、逆に言うとわかりやすいコスト削減余地が少ないことでもある。調達や物流など、統合シナジーをどう積み上げていくかが注目される。

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