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「ドローン」官邸落下で規制強化論に拍車

業界団体は今夏にガイドライン策定
「ドローン」官邸落下で規制強化論に拍車

市場本格化が期待されるドローン(本文と写真は関係ありません)

 首相官邸(東京都千代田区)の屋上で飛行ロボット(ドローン)が見つかった事件で、警視庁は22日、機体に取り付けられていたプラスチック製の容器付近から放射線のガンマ線が1時間当たり最大1・0マイクロシ−ベルト測定され、放射性セシウム134と137が検出されたと発表した。直ちに人体に影響を与えるものではないとしている。
 警視庁公安部は麹町署に捜査本部を設置する。機体を回収して詳しく鑑定するとともに、周辺の防犯カメラの映像を解析するなどして、威力業務妨害容疑などでの立件を視野に、操縦者や離陸場所の特定を急ぐ。
 菅義偉官房長官は22日午後の記者会見で、首相官邸屋上へのドローン落下について、「今回の事案を検証し、テロの未然防止に全力を尽くす」と述べた。また、ドローン運用の規制について「早急に行わなければならない」と強調した。

       ◇    

 ニュースイッチでは、本事件が起きる前の4月7日、「『ドローン』(無人航空機)の開発が花盛り」と題する記事を配信した。記事中で今後のドローン規制のあり方についても触れているため、該当部分のみ再掲する。

(以下、4月7日配信記事より)
 無人機に対して何らかの安全規制を設ける必要性が高まってきている。昨年4月には、名古屋で夜景を撮影していた小型無人ヘリが、繁華街に墜落する事故も起きた。
 業界団体の「日本UAS産業振興協議会」は、今夏をめどに無人機の民生利用に関するガイドラインを策定する予定だ。民間のガイドラインであるため拘束力はないが、策定段階では他の業界団体や関係省庁とも連携をとって検討を進める方針だ。
日刊工業新聞 2015年04月23日 総合2面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
ドローンが官邸に落ち、なおかつ微量ながら放射性セシウムをまき散らすショッキングな事件に対する影響が広がっています。政治の議論では一気にドローン規制強化へと向かう雰囲気がありますが、経済界の側から見れば、ドローン市場はいよいよこれからが本格化の時。事件を未然に防ぐ手だてとしては、飛行制限区域を設けたりすることで克服できるはずです。

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