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TOTOがキレイなトイレ、セカイにアピール

五輪のオフィシャルパートナーに。「ウォシュレット」生産時間半減にも挑む
TOTOがキレイなトイレ、セカイにアピール

TOTOウォシュレットテクノ土岐工場(岐阜県土岐市)の組み立てライン

 TOTOは24日、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会と「東京2020オフィシャルパートナー」の契約を結んだ。同日、ホテルニューオータニ(東京都千代田区)で調印式を開いた。

 ホテルニューオータニは1964年の東京五輪開催に合わせて開業し、TOTOは日本初のユニットバスを納入した経緯がある。喜多村円社長(写真左)は東京五輪とTOTOの縁を振り返りながら、「海外から訪れる人にキレイなトイレ文化を実感していただけるよう取り組みを強化する」と抱負を述べた。

 森喜朗大会組織委員長(同右)は「TOTOは世界に誇る日本のトイレ文化をけん引してきた」と持ち上げつつ、LIXILなど水回り設備を手がける他の五輪パートナーとの相互協力にも期待感を示した。

部品の配膳を工夫、3年後をめどに2時間まで減らす


 TOTOは温水洗浄便座「ウォシュレット」を製造する土岐工場(岐阜県土岐市)で生産リードタイムを半減する。部品の配膳供給の仕組みを改善し、3年後をめどに2時間まで減らす。国内では都市部の再開発や2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催を見据えた需要増が期待されており、増産に対応しやすくする。マザー工場として生産革新に取り組み、海外工場の生産能力を強化する狙いもある。

 ウォシュレットは研究開発と製造を子会社のTOTOウォシュレットテクノ(北九州市小倉南区)が担っている。国内の生産拠点は土岐工場のほか茨城工場(茨城県桜川市)があり、海外ではマレーシアと中国に工場がある。現地生産・現地販売が基本だが、土岐工場は一部を輸出する一方、海外工場からウォシュレットの基本機能を集約した「共通エンジン」の供給を受け、ストックしている。

 共通エンジンは必要なユニットを追加することで異なるグレードやデザインの商品を作れる。実用化により設計の手間が低減されたほか、共通部品の大量購入によるコストダウンも可能になった。

 土岐工場では2011年に共通エンジンを活用する「需要変動対応ライン(ODPライン)」が稼働。増産時には共通エンジンのストックを投入し、担当者は後工程に配置することで、生産量を約4割増やせるようにした。突発的な大量受注にも応じやすく、従業員の残業や休日出勤も減ったという。

 同社では「組み立てリードタイムはODP方式である程度のところまで来た。次は配膳だ。部品メーカーとも話し合いを進めている。できるだけ圧縮したい」(藏本維丈工場長)としている。
日刊工業新聞2015年12月11日/2016年2月25日
斉藤陽一
斉藤陽一 Saito Yoichi 編集局第一産業部 デスク
今年、米国アリゾナでキャンプを張ったプロ野球・北海道日本ハムファイターズの主砲・中田翔選手が、日本で慣れ親しんだ温水洗浄便座が普及していないことに悩んでいたところ、TOTOが携帯ウォシュレットを寄贈。何とか初の海外キャンプを乗り切ったという報道がありました。確かに自分が過去に行った海外出張を振り返ってみても、温水洗浄便座に出会った経験はありません。2020年大会は世界に日本のトイレ文化をアピールする絶好の機会になりそうです。

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