JDIが世界初「透明な液晶反射板」開発、5G通信改善に貢献
ジャパンディスプレイ(JDI)は可視光を透過し、第5世代通信(5G)ミリ波帯の電波の反射方向を任意に変更可能な人工構造体「メタサーフェス」の液晶反射板を開発した。反射板を透明にすることにより、窓ガラスのほか広告媒体上に設置可能となり、設置の自由度が大幅に向上するため、5Gの電波通信環境の改善に貢献することが期待される。
5Gで使われるミリ波は、高速・大容量・低遅延の通信サービスを提供可能であるものの、電波が強い直進性を持つため、ビルや樹木の影などに電波の届きにくい場所(カバレッジホール)を発生させやすい特徴がある。こうした場所への対策として、基地局からの電波を特定方向に反射させてカバレッジホールへ届けるメタサーフェスの反射板が必要とされている。
JDIは2021年にミリ波を任意の方向に反射可能な液晶メタサーフェス反射板の開発を発表している。今回、反射板を透明にすることに成功した。ミリ波を反射する一方で可視光を通過する。
試作品で背景が透過することを確認した。こうした製品は世界初だという。実用化を目指し、量産に向けた技術検討を推進していく。
日刊工業新聞 2023年06月29日