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“台風の目”変化を検出成功、強さの診断に役立てる

“台風の目”変化を検出成功、強さの診断に役立てる

ひまわり8号による2020年の台風第10号の中心付近の可視画像の例。背景の白黒画像。白飛びしないように暗めに彩色。青系色の等高線は凡その雲頂高度(km)。等高線が混んでいるところの内側が目の中。(北海道大学の発表資料より)

北海道大学大学院の堀之内武教授は気象庁気象研究所などと共同で、気象衛星「ひまわり8号」による特別観測から台風の目の変化を検出することに成功した。30秒間隔の超高頻度観測をもとに、台風の目の中の風速分布を高頻度かつ高密度に捉えた。台風の回転中心の位置が円運動し、これに伴い風速が加速されるメカニズムを発見した。開発手法は、台風の強度診断や予報向上に役立つと期待される。

沖縄、九州地方に被害をもたらした2020年の台風10号の盛期を対象に、通常観測の5倍の頻度となる30秒間隔で台風の中心付近を観測。台風強度が最大になりつつあった約8時間を対象に、約500メートルと高い分解能の可視画像などを用い、雲の動きから風速を推定した。これらをもとに台風の中心付近の風の分布を2キロメートル間隔で毎分計算するとともに、目の中の流れを模した数値シミュレーションを実施した。

すると、目の中で特に中心に近い部分で大気境界層における回転の速さが短時間で倍増していた。台風の回転中心の位置は、約1時間周期で円運動するなど複雑な動きをしており、この円運動に伴う流れ場が中心付近の回転の速さを倍増させたことが分かった。

日刊工業新聞 2023年06月26日

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