学生が〝パートタイムプログラマー〟に…電通大発スタートアップの「橋渡し」が軌道に乗ってきた
プログラミングを活用して大学と学生の双方を支援する電気通信大学発スタートアップのイスカスアカデメイアソフト(東京都調布市、西野千佳子社長)の活動が軌道に乗ってきた。経済的余裕のない学生が“パートタイムプログラマー”となり、大学事務のデジタル変革(DX)や研究室の手に余るプログラムの構築を一般のアルバイトより高めの時給で担う。2022年10月の創業以降6件を受注。運営体制も4月から学生11人に増強した。(編集委員・山本佳世子)
イスカスアカデメイアソフトの創業者は、経済産業省・情報処理推進機構認定の未踏スーパークリエータの称号を持つ西野順二電通大助教だ。創業の動機は、国立大生の1割強といわれる貧困家庭の学生支援だ。これらの学生の奨学金は家族の生活費に消え、飲食店でのアルバイトなどで疲弊し退学するといったケースが見られる。
プログラマーの時給は一般のパートタイムの場合で1500円などと、比較的高めだ。ウェブでの独習もでき、電通大生の場合は学びとの相乗効果が高い。オーダーメードの開発を体験しながらビジネスや産業の仕組みに関する理解を深めることができる。
理工系大学では、データ解析や機器の作動などに関するコンピューターの小規模プログラムを研究室で開発する。しかしデータ収集やアンケート向けのスマートフォンアプリケーション開発までは手が回らないといったケースがあるという。
また大学の事務からは「DXやRPA(ソフトウエアロボットによる業務自動化)関連の業務を数万円で手がけてほしい」というニーズがある。同社はこれらに応えるべく、創業当初は学部3年生6人を時給2000円で週6時間雇用。同大から一般向けプログラミング教室のシステム改修、卒業生が在籍する企業から学習用ソフトウエアの制作などを受注し、リモートで活動している。
23年春の採用活動では、募集人数に対して倍の応募があった。参画する学生は学部2年生から大学院生と、広がりを見せている。