トヨタの株主総会、「テスラに勝てるのか」の質問に回答は?
トヨタ自動車は14日、愛知県豊田市の本社で定時株主総会を開いた。諮った計4議案のうち、豊田章男会長を含む取締役10人の選任など、会社提案の3議案が可決された。気候変動対応に関する情報開示を定款に盛り込むことを求めた株主提案は否決された。株主からは、議長として最後の総会に臨んだ豊田会長の14年間の経営に対する評価や、新体制の経営方針について質問が相次いだ。
豊田会長は社長時代を「戦ってきた14年だった」とし「流れに逆らいながらも前に進めたのは株主のおかげだ」と感謝した。「次世代のクルマ屋の未来に向けた戦いは始まっている。これからのトヨタを見てみたい」と、新体制のサポート役を約束した。
佐藤恒治社長は「未来のクルマに何か新しいものを生み出すチャレンジが使命だ」とし「共通の価値観があるからこそ、スピード感あるチーム経営ができる。トヨタらしさを継承し新しいトヨタを踏み出す」と語った。
電気自動車(EV)首位の米テスラに勝てるのか、との質問には、BEVファクトリーの加藤武郎プレジデントが「私はEVが大好きです」と2回繰り返し「EVを作る準備は進めてきた。今こそ、その機会だ」と答えた。またこの回答を受け、豊田会長が「大好きだからといってテスラに勝てるかは分からないが、大好きなエンジニアが作る車は魅力が伝わると思う」と返した。女性役員の登用などダイバーシティー(多様性)については、大塚友美シニアフェローが「人事制度などを変え一人ひとりがそれぞれ活躍できる土壌ができてきた」とし、さらに取り組む方針だ。
質疑応答の前には、オランダのAPGアセットマネジメントなど共同で株主提案した3社の代理人が補足説明を実施。トヨタの山本正裕経理本部長は「引き続き対話を進める」とした上で、日本における定款の位置づけの重さなどから、記載は適切でないとの反対理由を説明した。
総会後には役員を退任した元会長の内山田竹志氏があいさつ。「(開発責任者を務めた)初代プリウスなど、自身が企画した車を世に出すという少年時代の夢を叶えた。先輩や同僚、機会をくれたトヨタに感謝したい」と振り返った。
出席株主数は3774人で、所要時間は1時間56分だった。