曇り防止用熱線入りの樹脂ウインドー、豊田自動織機が開発

「86」向け。重量はガラスに比べ約半減、量販車への拡大を目指す

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軽くてデザイン自由度が高い樹脂ウインドー(横線が熱線部分)
 豊田自動織機は曇り防止用熱線入りの樹脂リアウインドーを開発した。同社によると、世界初。トヨタ自動車が100台限定発売したコンプリートカー「86(ハチロク)”GRMN“」に採用された。重量はガラスに比べ約半減の3・3キログラム。樹脂ウインドーは軽くてデザイン自由度が高い。限定車への採用を足がかりに量販車への拡大を目指す。

 通常のガラスウインドーは平らな状態のガラスにスクリーン印刷で熱線を付け、高温の炉で焼き付ける。その後、熱をかけて曲面の形状をつくる。

 今回は射出成形した立体形状のポリカーボネート製ウインドーに熱線を塗布する。スクリーン印刷は曲面を苦手とするため、ロボットで熱線を塗布する方式を採用した。

 車体用シール部材の塗布などに使う装置を改良し、少量を高精度、安定的に吐出できるようにした。塗布速度や吐出圧力など良品条件も突き詰めた。高温焼成ができないため、150度C以下の低温でも焼き付けられる熱線材料を開発した。量販車への採用を目指す上で、熱線付与技術は不可欠だ。 

 豊田織機は樹脂ウインドー事業の拡大を目指す。2010年にトヨタの限定スーパーカー「レクサスLFA」向けの樹脂クオーターウインドーを手がけ、ハイブリッド車(HV)「プリウスα」向け樹脂パノラマルーフを生産している。86”GRMN“ではクオーターウインドーも受注した。

大西朗社長インタビュー「新しい種の育成を加速する」


 ―自動車関連事業の2016年の見通しは。
 「エアコン用コンプレッサーは北米で日産自動車や米フォード・モーターへの拡販などもあり、2015年より(売上高が)増加するだろう。一方、期待した新型『GD型』ディーゼルエンジンやターボチャージャー(過給器)は厳しい。主戦場の東南アジア市場の(回復)待ちの状態だ」

 ―トヨタ自動車とのディーゼルエンジン事業集約の進捗(しんちょく)は。
 「開発の統合はワーキンググループ(WG)をつくり進めている。生産の集約は時間をかけてトヨタと協議する。統合効果でGD型よりクリーンで低コストなディーゼルエンジンを開発していく。小型エンジンの開発は市場動向などを見極めつつ判断したい」

 ―トヨタは50年頃にエンジンだけのクルマが、ほぼなくなる見通しを示しました。
 「自然な方向だ。当社もディーゼルエンジンの開発・生産だけではそうした流れに沿わなくなる。中長期的にはディーゼルハイブリッド車(HV)の開発も可能性としてはあるだろう」

 ―16年度の重点テーマは。
 「新しい種の育成を加速する。樹脂ウインドーは現時点ではボリュームは小さいが、軽量化や意匠性の高さをもっとアピールして伸ばしたい。当社の強みを生かせる新たな分野のコンポーネントを手がけられないかと考えている。15年末に子会社2社を売却して得た約1600億円の資金は、そうした部分の研究開発にも割り振る」

【記者の目・今から長期的議論を】
 トヨタの50年目線ではHVやプラグインハイブリッド車(PHV)が主流になる。ガソリンエンジンはHVやPHVにも使われるが、ディーゼルエンジンと組み合わせるHVは現在、トヨタのラインアップにはない。豊田織機には大きなインパクトだ。長期視点でのディーゼル事業の方向性を、今から議論しなければならない。
(聞き手=名古屋・伊藤研二)

日刊工業新聞2016年2月18日/24日

COMMENT

明豊
デジタルメディア局
局長

樹脂ウインドーは見た目も美しい。大西社長のインタビューにもあるように今後、キャッシュをどのように使っていくか注目。

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